なんよう動物病院の症例紹介ページです。犬の脂漏性皮膚炎の紹介です。

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2020年04月13日

【皮膚科】脂漏性皮膚炎 トイプードル

今回は手足を中心に痒みがひどく、脱毛してしまったワンちゃんをご紹介します!

【症例】

トイプードル、6歳、避妊メス

【症状】

2歳の頃から耳がただれることがよくあったが、当院にかかられる半年前から急激に皮膚の状態が悪化してきた。治療はシャンプーで月1〜2回洗浄していた。

顔や首回りの毛も薄くなっていますが、特に四肢と腹部の脱毛が重度であることがわかりますね。

【診断】

かゆみのある皮膚病の検査は、まず感染の有無を確認するところから始まります。ここを怠ると、薬を使っても狙った効果が出ませんので慎重に!

皮膚検査の結果から、マラセチアという酵母様真菌(カビ)が増殖していることがわかりました。このマラセチアは体表の皮脂を餌にして増殖するため、皮膚がべたついてくると増えてきます。そして、マラセチアの菌体や代謝産物によるアレルギー反応で痒みを引き起こすと言われています。

またマラセチアの他、皮膚表層の細胞の代謝が亢進していることがわかりました。皮膚の代謝のことをターンオーバーといいます。ターンオーバーの周期は人では4週間で1サイクル、犬ではおよそ21日で1サイクルといわれています。ターンオーバーの周期が短くなることで未熟な細胞が表面に出てきてしまい、バラバラとはがれやすくなります。この時、はがれたものがフケです。このように皮膚表面の代謝に異常が生じることを「角化異常」といいます。

角化異常にはさまざまな原因があります。感染、体質によるもの、アレルギー、内分泌、免疫異常、腫瘍などです。今回の症例は、皮膚症状は半年前から出てきたとのことでしたが、耳の症状が幼い頃から出始めているため、体質やアレルギーを第一に疑い、悪化要因として内分泌の異常や免疫疾患、腫瘍などを考えました。これらの原因を探すため、血液検査と画像診断を実施しましたが明らかな異常はありませんでした。

【治療】

今回の症例はマラセチアが過剰に増殖しており、かゆみを悪化させている原因の一つと考えられました。そのため、皮膚のターンオーバーを正常に近づけるシャンプーとともにマラセチアを退治してくれるシャンプーを併用していただくことにしました。シャンプー後は皮膚の上から皮脂が除去されるため、そのままにしておくとさらなる皮脂の分泌を促してしまいます。そのため、シャンプー後の保湿剤の併用も必要となります。

マラセチアは皮脂をエサにして増殖しますので、マラセチア自体に効くシャンプーと皮脂を取り除くシャンプーを併用することは効果が高いと感じています。

この子もシャンプーのみでマラセチアのコントロールは可能でした。

一方、非常に強いかゆみとともに、皮膚の構造変化がひどく手足はごわごわになっていました。。こういった状態の皮膚にはステロイドがとても効果的です。ステロイドはかゆみを抑える効果はもちろんですが、副作用として皮膚を薄くするという効果もあります。この副作用を利用し、分厚くなってしまった皮膚をもとに戻していくわけです。当然、ずっと同じ濃度や頻度で使い続ければ今度は皮膚が薄くなりすぎてしまいますので、うまく調節してあげなければいけません。

治療を開始して3ヶ月後の写真です。

かなり毛が生えてましたね!

新しく生えてきた毛の部分は色が濃くなっていますが、これはよく見られる現象です。

半年から1年くらいかけて周囲の毛色に近づいていくことが多いですね。

この子は先に、投薬とシャンプーで皮膚のコンディションをある程度のところまで持っていけたので、現在は食物アレルギーの関与がないかどうかを評価中です。

若齢からなんらかの皮膚症状を持っている子は、アレルギーや脂漏などの体質による皮膚症状が多いため、病気と一生のお付き合いになることがほとんどです。それでも、ここ数年で様々な治療法が開発されてきており、飼い主様にご提案できる選択肢も増えていますので、諦めずにご相談ください!

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