愛知県知立市なんよう動物病院の皮膚科症例集です

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2018年09月24日

犬の皮膚リンパ腫の症例

皮膚病の中でも最も悪性度が高い部類に入る皮膚リンパ腫の症例です。皮膚科のページでも簡単に説明してありますが、詳しくご紹介します。

【症例】

シベリアンハスキー、8歳、避妊雌

【症状】

2ヵ月以上前から全身に痒みがあり、他院にて抗生剤、抗真菌剤、ステロイドを処方され投薬するも症状の改善が見られない。

診察室に入ってきてこの子の体を見た瞬間に「これはやばいやつだ」と感じました。どうみても普通じゃないですよね。皮膚の赤みに加えて、体中のいたるところにカサブタができていました。

【診断】

最初に見た段階で重度の免疫疾患や腫瘍性疾患を念頭に入れて検査計画を立てました。身体検査、皮膚科検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行いました。皮膚科検査ではカサブタをはがした下から採取したサンプルから異常なリンパ球を多数検出しました。また、血液検査でもリンパ球が増加しており、血液塗抹でも異常なリンパ球を確認できました。

ここまでで皮膚リンパ腫の可能性が非常に高いのですが、確定診断のためには皮膚の病理組織検査が必要です。組織検査を行う理由はリンパ腫にもタイプがあるからです。

犬の皮膚リンパ腫には大きく分けて3つの分類があります。(人では20以上の分類に細かく分けられています)

1、菌状息肉腫

2、パジェット病様細網症

3、セザリー症候群

皮膚の構造は表皮、真皮と皮下組織の3層構造になっています。菌状息肉腫は表皮と真皮に腫瘍細胞が浸潤する病気です。パジェット病様細網症は表皮のみに限局して腫瘍細胞が浸潤します。セザリー症候群は菌状息肉腫の亜型として考えられており、血液中にも腫瘍細胞が出てきてしまっている状態です。そのため、3番目のセザリー症候群が最も悪性度が高いリンパ腫となっています。

この症例は病理組織検査では菌状息肉腫の形態をとっていましたが、血中にも異常リンパ球が出てきていたため、セザリー症候群に移行していると診断しました。

【治療】

犬の皮膚リンパ腫の治療は抗がん剤がメインとなります。近年、抗がん剤プロトコールの治療効果の比較を行った論文が発表されました。その論文ではこれまで推奨されていた治療法と同等の効果をもつ治療法が紹介されていました。しかしながら、完全寛解(全く症状が出ていない状態まで病気を改善させることです)状態を長く維持することは難しいのが現状です。

その他、免疫調節作用をもつ注射を打つことにより、腫瘍が原因で起こる食欲の低下や元気の喪失を緩和できるといった報告もあります。ただし抗がん剤ではないため、腫瘍そのものを攻撃できるわけではありません。

この症例は抗がん剤による治療を飼い主様が希望されなかったため、注射による元気食欲の維持のみ行いました。それでも、初来院から2週間半ほどで亡くなってしまいました。

皮膚リンパ腫は診断まで平均5~6か月かかるといわれています。初期の病変が他の日常的によく見る皮膚病と似ていることもあり、特に検査をせず抗生剤とステロイドを使用されているケースも見かけます。しっかり検査していれば、診断までの期間を短くできる可能性も多いにあります。

このような命にかかわる皮膚病があることをみなさんに知っていただき、完全に治してあげることが難しくても元気でいられる時間を少しでも長くしてあげられれば、と考えています。

 

 

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