犬のてんかん発作の症状と原因,治療について

  • 2022年11月16日
  • 最終更新日 2023年4月21日
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知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。

愛知県知立市のなんよう動物病院の院長の鈴木です。

今回は、犬のてんかん発作の症状と原因、当院での治療について説明をさせていただきます。

<てんかんの主な症状>

・体の一部のみのけいれん

・よだれ、嘔吐、腹部痛など

・不安や恐怖を感じる、動かなくなる

・全身がガタガタと震えて四肢が伸び切っている

・体が脱力してしまい、動かない

<てんかんとは?てんかん発作とは?>

てんかんとは、「24時間以上の間隔を空けて少なくとも2回以上のてんかん発作を示す状態」とされています。

それに対してんかん発作とは、「脳の神経細胞の活動が異常に増加、もしくは同期することにより発症する症状」のことをいいます。

<てんかんの種類について>

てんかんは大きく「構造的てんかん」と「特発性てんかん」に分けられます。

「構造的てんかん」は発作の原因として脳になんらかの病変(脳腫瘍、脳炎、脳奇形、水頭症など)が存在します。これらの診断には、MRI検査や脳脊髄液検査が必要となります。

構造的てんかんの場合は原因となる病変の治療を必要とします。

「特発性てんかん」は遺伝的な要因や原因不明となる場合が多く、脳に明らかな病変はありません。

また厳密にはてんかんではありませんが、同様の症状を示すものとして「反応性発作」というものがあります。

これは低血糖、門脈シャント、ミネラルバランス異常などの全身性代謝異常や中毒による脳以外の原因で発生する発作のことで、基礎疾患を治療して再発がなければ発作の再発も起こることはありません。

<知立市のなんよう動物病院のてんかん治療>

「構造的てんかん」の治療

まずは原因となる病変がどんなものかを調べる必要となります。頭蓋内の病変の診断にはCTやMRIが必要です。なんよう動物病院では頭蓋内疾患の疑いがあり飼い主様が希望された場合、二次病院への紹介を行っております。ご紹介の際には単にMRIが取れるかどうかだけではなく、例えば脳腫瘍などがあった場合にその先の治療(開頭手術など)までを引き受けていただける病院かどうかを、ご紹介先を選ぶ判断材料としています。

各種検査で原因がわかった場合、例えば脳炎が原因であれば内科治療がメインとなるため、当院での継続治療も可能です。

「特発性てんかん」の治療

特発性てんかんの場合は、内服薬での治療で発作のコントロールを目指します。ですが基本的には完治が望めない病気ですので、多くの場合生涯にわたっての投薬治療が必要となります。

知立市のなんよう動物病院では

  • 6ヶ月以内に2回以上のてんかん発作がある場合
  • てんかんの重積発作が見られる場合
  • 発作徴候が24時間以上継続する場合
  • 構造的てんかんが明らかな場合

に治療をスタートします。

これよりも頻度が低いてんかん発作に対しては、薬の副作用により体にとって負担となる事がある為、経過観察としています。

 

1種類の抗てんかん薬で症状のコントロールができると一番いいのですが、そうでない場合は複数の抗てんかん薬を併用する場合もあります。

治療を始めて発作のコントロールができた後も定期的に血液検査を行い、てんかん薬の血中濃度が十分に高い状態となっているかを確認するのが理想的です。

またてんかん発作の頻度を下げる補助療法がいくつか示されています。中鎖脂肪酸が豊富に含まれている食事を与えたり、カンナビジオールという成分が含まれたオイルを与えることでてんかん発作の頻度が下がったとの報告が出てきています。

体になんの問題も無く健康な場合にてんかんを起こす事はまずありません。

軽い発作が一回起こっただけだった、発作以外の時は元気にしているからといって経過を見るのはやめましょう。1回でも発作が起こったらまずは病院へ行く事をおすすめします。

 

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