犬のシャンプーは必要?メリットと手順について

  • 2021年9月18日
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わんちゃん、ねこちゃんの皮膚病の治療に力を入れているなんよう動物病院です。

わんちゃんをお迎えした後に「シャンプーくらい自分でできる!」と思っていても、「このシャンプーで体に合ってるのかな?」や「そもそもシャンプーの仕方がわからない!」と言われるケースがあります。シャンプーをすることは単純に体を洗浄するだけでなく、その他にも様々なメリットがあります。

普段は皮膚病について解説していますが、今回は皆さんにご自宅でのシャンプーにチャレンジしていただくハードルを下げるため、よく聞かれる質問にお答えし、シャンプーを行うときのコツや注意点をまとめていきたいと思います!

 

そもそも犬のシャンプーって必要なの?

犬は私たちよりも地面に近いところで生活しているせいで、毎日たくさんの汚れやほこりが体に付着します。また、私たち人間とは汗をかくための汗腺の種類と分布が異なっており、犬が全身にかく汗は人間のわきや股に出てくる汗と同じような成分です。そのため、臭いやべたつきがでてきてしまいます。こうした汚れや汗の蓄積をシャンプーでしっかり洗浄することで、皮膚の環境をいい状態に保つことができます。

さらに犬アトピー性皮膚炎などのダニや花粉といった環境アレルゲンに対する刺激でかゆみが発生する皮膚病では、シャンプーを行なって体についたアレルゲンを除去してあげることで、痒みの悪化を防ぐことも期待できます。

シャンプーの頻度は特に皮膚病を持っていない子であれば、最低でも月1回くらいのペースで洗浄してあげるといいかと思います。

シャンプーのメリット

シャンプーを行うことは犬のスキンケアの中でも大きな役割を果たしています。汚れや皮脂を落とすのはもちろんですが、シャンプー時にマッサージを行うことで皮膚の軟化や、血行改善が期待できます。またわんちゃんとのスキンシップにもなりますので、一緒に楽しくシャンプーができるといいですね!

 

スキンケアとは?

スキンケアとは、皮膚を常に健康な状態に維持するために皮膚を清潔にして、皮膚の水分保持機能を損なわないようにすることです。主な方法としてはシャンプーによる洗浄と日々の保湿があります。スキンケアとしての洗浄に必要なのは、皮膚の代謝や生理機能は落とさずに皮膚のバリア機能を保ちながら、不要な付着物を除去することです。洗浄の方法としては、シャンプーを用いた洗浄と入浴があります。

低刺激のシャンプーを使っていても洗浄の刺激自体が皮膚のダメージを与えてしまい、皮膚のバリア機能の低下につながることがあるため、皮膚が極端に弱いわんちゃんは入浴のみでもある程度の洗浄効果が期待できます。

また保湿は、皮膚表面の脂質や角質間のセラミドなどを補うことで皮膚のバリア機能を高めることを指します。この際に使用されるのが、保湿成分が配合された保湿剤です。

このように「洗浄」と「保湿」をバランスよく実施することが皮膚の健康状態を高めていくための必須手段となっています。

 

外からのスキンケアと内からのスキンケア

外からのスキンケアには先ほど書いた洗浄や保湿のほか、服を着せて外的刺激から体を守ってあげる「保護」やマッサージ、ブラッシング、塗り薬などを用いて血流の改善、育毛などを目的とする「賦活(ふかつ)」があります。

また内からのスキンケアとしてはバランスの良い食事を取らせてあげる「栄養管理」、健康な生活習慣を送るために活動時間や睡眠時間を調節してあげる「生活改善」、普段使用している寝床の清掃や散歩コースにあるアレルゲンへの対策など皮膚が暴露される環境のケアを行う「環境管理」、家族とのふれあいや遊びを通じてストレスを緩和させてあげる「ストレスケア」があります。

 

シャンプーの種類

シャンプーには様々なものがあります。低刺激、抗菌、抗脂漏、保湿成分配合、止痒性など多くの機能を持ったシャンプーが販売されています。飼い主さんの気持ちになってみると、「どれがいいのかわからん!」ってなってしまいますよね。全ての子に当てはまるわけではありませんが、皮膚病の子の洗浄時に当院でシャンプーを選ぶときの例をお教えしたいと思います。

 

・アトピー性皮膚炎(ドライスキン)⇨低刺激性・保湿シャンプー、止痒性シャンプー

・マラセチア皮膚炎⇨クレンジング、角質溶解・抗脂漏シャンプー、抗菌・抗真菌シャンプー

・皮脂が多い、ベタつく⇨クレンジング、角質溶解・抗脂漏シャンプー

・汚れが多い皮膚⇨角質調整シャンプー

・健康な皮膚⇨低刺激・保湿シャンプー

ここで大事なポイントがあります!それは

保湿剤入りシャンプー=低刺激シャンプーではない!

ということです。これは本当によく勘違いされているポイントです。保湿剤はあくまでシャンプーに配合されている成分であり、シャンプーの刺激性の強弱を決めるのは、「界面活性剤」です。動物用シャンプーで主に使用されている界面活性剤には以下のような種類があります。

 

高級アルコール系:ラウリル酸ナトリウム、ラウレス酸ナトリウムなど

石鹸系:オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなど

アミノ酸系:ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムなど

 

ここでそれぞれの界面活性剤の特徴をまとめてみましょう。

界面活性剤 洗浄力 気泡性 刺激性
高級アルコール系 ★★★ 高い 強い
石鹸系 ★★ 中間 中間
アミノ酸系 低い 弱い

 

「高級アルコール系」の界面活性剤が使用されているシャンプーは泡立ちやすく、洗浄力が高いため、汚れやすい子や体が皮脂でべたついている子にはおすすめです。

また、界面活性剤の中で低刺激と言われるのは、「アミノ酸系」です。アミノ酸系シャンプーは刺激が少ない分、泡立ちにくいのがデメリットなので泡立てやすいようにスポンジやネットを使用するなど工夫が必要です。

下の写真は当院で販売しているシャンプーですが、水、LPGの次に「ラウロイルメチルアラニンNa」と記載されています。これはアミノ酸系の界面活性剤が使用されており、刺激が少ないということが分かりますね!

シャンプーの裏側に書いてある成分表示を見て、高級アルコール系が使用されていたら、実は刺激性の強いシャンプーかもしれませんよ。

 

クレンジングの必要性

ベタつきの強い子や皮膚が弱く洗浄力の強いシャンプーを使えない子の汚れ落としに活躍するのが、クレンジングです。動物のクレンジングでよく使用されるのは、クレンジングオイルです。クレンジングオイルは皮脂となじみやすい油性成分や溶剤によって、シャンプーで落としきれない皮脂汚れをしっかり落とすことができます。

 

クレンジング剤は皮膚に残留しやすいため、クレンジング単独で使用されることは少なく、使用後の拭き取りが必要だったり、追加洗浄(ダブル洗浄)に用いられることが一般的です。

皮脂汚れを落とす上では使いやすいツールですが、ダブル洗浄による脱脂作用が強くなりすぎることもあるため、注意が必要です。

入浴剤の種類

入浴はシャンプー前に実施することですすぎを簡単に行うことができます。また入浴で血液の循環が改善され、皮膚の生理機能を活性化させることも期待できます。単純にお湯に浸からせてあげるだけでは皮膚の保湿成分が漏れ出ていく可能性があるため、入浴剤を併用する必要があります。42℃を超える温度で入浴を行うと皮膚のp Hがアルカリ性に傾いてしまうことがあるため、入浴時の湯温は35~38℃の間で調節してください。

 

食塩泉

バスソルトなどを利用することで、保湿効果と保温効果が期待できます。

重曹浴

角質の軟化や皮脂を除去する効果があるため、ベタつきが強い子におすすめです。

100円均一などのショップで購入できる重曹を利用できます。

硫黄泉

角質の軟化、毛包のクレンジング効果、抗菌作用などがありますが、皮膚への刺激性が懸念されています。

炭酸泉

血液循環の改善効果が期待できます。皮膚のpHを酸性側に傾ける効果もあり、皮膚表面の菌が増えにくい環境を作ることができます。高濃度の炭酸泉は専用の装置が必要ですが、お家での利用できる袋タイプの炭酸泉も発売されています。

マイクロバブル浴

毛穴に入り込むほど小さい泡が含まれたお湯での入浴です。皮膚の汚れを浮かせとる効果が期待できるほか、毛穴の汚れのクレンジング効果もあります。皮膚バリアが弱い犬では界面活性作用のあるシャンプーやクレンジングが使用しづらいケースがありますので、そのような場合でも使用することができます。

 

保湿剤の種類

皮膚には外的刺激から体の内部を守るためのバリア機能が備わっています。具体的には、微生物などの侵入を防いだり、紫外線による体内の障害を防いだりしています。皮膚のバリア機能を保つためには、皮膚(特に最も外側に位置している角質層)に十分な水分が含まれていることが必要になります。

 

もともと皮膚には保湿機能が備わっています。しかし、洗浄のやりすぎや湿度の低下、皮膚のトラブルにより皮膚が乾燥すると、皮膚の痒みや炎症を起こしやすくなります。

ヒトの新生児に保湿剤を使用することで、使用しなかった子たちと比べてアトピー性皮膚炎の症状を抑えることができたという報告もあります。

 

保湿剤には大きく分けると2種類があります。

閉塞剤:油性成分で皮膚表面を覆い、体内からの水分の蒸発を防ぎます。角質を柔らかくしたり、角質細胞間資質を補う効果もあります。

ワセリン、スクワランなど

 

保湿剤:成分そのものに水分を吸着し、保湿効果があります。

アミノ酸、乳酸、尿素、セラミドなど

 

シャンプーの前に準備するもの

・クレンジング剤(必要な場合)

・入浴剤

・シャンプー剤

基本的に1種類でいいですが、下洗い用と本洗い用の2種類を用意する場合もあります。

・保湿剤(トリートメント)

・タオル(マイクロファイバーでできている吸水力の高いものを2〜3枚)

・ドライヤー(家庭用でO K!)

・ブラシやスリッカー

・バスタブ(小型犬ならこの方が楽ちんです!)

シャンプーの前後で入浴をする場合、犬用のバスタブがあると簡単に入浴ができます。

シャンプーの手順

シャンプーを始める前に

ブラシやスリッカーを使って、毛玉や汚れを取り除きます。ここで被毛のからまりをしっかりとっておかないと、シャンプーは皮膚に届かないだけでなくすすぎのこしの原因になります。

 

クレンジング、入浴

皮膚のベタつきや汚れが多い子はシャンプーを使用する前にクレンジングや入浴を行います。クレンジング剤はオイルを使用したものが多いため、皮膚が水で濡れていると効果が落ちてしまうことがありますので、使用前に必ず使用方法を確認してください。

入浴は10分程度浸かってもらうのがいいですが、大きなわんちゃんだと難しいかもしれません。

 

シャンプー前のすすぎ 

35〜38℃のぬるま湯で、時間をかけて皮膚と毛を十分に濡らします。シャンプー前のすすぎをしっかりと行うことで、シャンプーの浸透や泡立ちが良くなります。

すでに入浴をしている子は皮膚が十分濡れているはずなので、すすぎの行程を飛ばしても大丈夫です。

 

シャンプーの泡立て

シャンプーを直接皮膚につけてから泡立てるためにゴシゴシ擦ってしまうと、洗浄後の皮膚トラブルを起こしやすくなるので、必ずシャンプーは泡立ててから使用する必要があります。シャンプーの泡立て方には色々な方法があります。スポンジや泡立てネットを使って泡立てる方法、ミキサーを使って泡立てる方法、ペットボトルに水とシャンプー剤を入れて振る方法などがあります。シャンプーの量としては体重5kgあたり500円玉3つ〜4つ分くらいの量が適量です。初めから泡で出てくるタイプのシャンプーを用いることもできます。逆さにしても泡が落ちないくらいの硬さが理想的です!

シャンプーをつけるときのコツ

泡立てたシャンプーは体に乗せたら、マッサージをするように優しく皮膚になじませてください。きめ細かく作られた泡は強く擦らなくても、汚れや皮脂を吸着してくれます。皮膚に浸透させるときは毛の流れと同じ方向にマッサージしてあげてください。

洗い流すときの注意点

シャンプー剤が皮膚に残らないように十分に時間をかけて、すすぎを行ってください。ヒダの部分や毛のあるところとないところの境目はシャンプーが残りやすい場所です。

保湿

すすぎが終わったら、皮膚や毛の水をできるだけ切ってからかけ流しタイプやスプレータイプの保湿剤を体全体に塗布していきます。入浴が好きな子はすすぎの段階で保湿剤を入れた入浴を行っても、同様の効果が得られます。

 

タオルドライのポイント

体の大きさに合わせたタオルを数枚用意してください。タオルで強く擦らないよう、包むようにして水分を拭き取り、できる限りタオルドライで乾かせるようにしましょう。タオルドライをしっかり行うことで、ドライヤーでの乾燥時間を短くすることができます。

ドライヤーで乾かすときのポイント

ドライヤーを使用する際には、皮膚や毛に当たる風が高温になっていないことを確認してください。高温の風が当たると、皮膚の乾燥や皮膚炎を起こすリスクが高まってしまいます。ヒトの皮膚に当たっても熱く感じない程度の温風で乾かしてあげましょう!

ドライ後のチェック

シャンプー後に保湿剤を使用していても、ドライヤーを使用すると皮膚が乾燥してしまうことがあります。その場合には、クリームやローションなどの保湿剤を用いて、部分的に保湿を行うことが推奨されます。

 

まとめ

現在、様々な種類のシャンプーが販売されており、「どれがうちの子にあってるの?」と不安に思っていらっしゃる飼い主様も多いと思います。今回は当院でのシャンプーの選び方も簡単ではありますがご紹介させていただきました。ぜひご参考にしていただき、ご自宅でのシャンプーにチャレンジしていただければと思います!

 

皮膚病の治療を行なった子たちをインスタグラムでご紹介しています!ぜひご覧ください!

こちらからLINEにて、診察のご予約をお取りすることも可能です!

 

院長の鈴木でした!

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