避妊のススメ!子宮蓄膿症と乳腺腫瘍について

  • 2021年4月10日
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こんにちは!知立市・刈谷市のなんよう動物病院の院長の鈴木です。

前回の院長便りではわんちゃんとねこちゃんの避妊手術についてお話ししました。今回は、その続きということで避妊しないと将来起こってしまうかもしれない代表的な病気について、お話したいと思います。

少々、グロテスクな写真が出てきますので、苦手な方は注意してください😰

◆子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、子宮内膜の異常と細菌感染による炎症が起こり、子宮内に大量の膿が溜まってしまう病気です。

子宮蓄膿症の症状

発症年齢の平均は8〜10歳で、多飲多尿や陰部からの排膿、元気消失や食欲減退が主な症状となります。また陰部からの排膿が見られない「閉鎖性子宮蓄膿症」もあり、閉鎖性の方が重症化しやすいと言われています。発情出血が始まって1〜2ヶ月でこれらの症状が見られた場合は、かなり危険なので様子を見ずに、すぐに病院に連れていきましょう!

子宮蓄膿症の診断

上記の臨床症状と血液検査、画像診断などから総合的に判断します。血液検査では炎症の値がかなり上昇していることが多いです。また血液の凝固にも異常が出ることがあり、播種性血管内凝固症候群(DIC)に進行することがあります。

腹部超音波検査では、液体が貯留し拡張した子宮が確認できます。この時、腹水も認められた場合は子宮が破裂し膿が腹腔内に漏れ出ている可能性が出てくるため、必ず腹水を抜いて検査をしなければなりません。

子宮蓄膿症の治療

治療の基本は原則外科手術を行い、卵巣と子宮を摘出してしまうことです。一度摘出してしまえば、子宮蓄膿症が再発することはありません。

手術中の写真をお見せします。子宮がかなり大きく拡張していますね😱摘出後にメスで穴を開けてみると、血と膿が混ざったものが出てきています。膿の中にいるバイ菌を培養して、効果のある抗生剤を選択して治療を行なっていきます。

あまりおすすめはしていませんが、内科治療で治す方法もあります。動物の状態が悪く、血液検査などの結果から麻酔や手術自体のリスクが非常に高い場合、また飼い主様がどうしても手術を望まれない場合などが適応となります。特殊な注射をうつことで子宮の出口を弛緩させ、排膿を促すことができます。この治療のデメリットとしては、薬が海外薬しかないため、どの病院でも置いてあるわけではないこと、また費用が高いため場合によっては手術とあまり変わらないくらいの金額になってしまう可能性があることです。

◆乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は、未避妊の雌犬では最も多い腫瘍であり、中高齢で発生が増加します。また猫では全体の腫瘍のうち、17%を占めるとされています。犬猫で最も違う特徴は、犬の乳腺腫瘍は良性と悪性の割合がほぼ半分であるのに対して、猫の乳腺腫瘍は90%近くが悪性であるという点です。また猫の乳腺腫瘍の25%は診断時にリンパ節転移が見られたとの報告もあるため、発情前に避妊手術を行い、予防を行ってあげるのが良いでしょう。

乳腺腫瘍の診断

まずは触診を行い、乳腺がある部位にしこりができていることを確認する必要があります。また、乳腺と同じ場所にできているからといって必ず乳腺腫瘍かというとそうではなく、他の腫瘍ができていることもありますので、すぐに手術に進むのではなく針を刺して細胞診断を行うことが大切です。その結果により、治療方針が大きく変わることもあります。

また乳腺腫瘍は悪性の場合、肺に転移しやすいという特徴を持っているため、胸部のレントゲン検査で肺に転移像がないかを確かめておく必要があります。仮に肺の大部分に転移が見つかった場合、手術で乳腺をとってあげたとしても、その子の余命は長くないかもしれません。

乳腺腫瘍の治療

乳腺腫瘍の治療は外科手術による摘出が第一選択となります。ただし、犬と猫ではその治療方針が大きく異なります。

犬の乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍では、「腫瘍のみを切除する」「しこりのある乳腺のみを切除する」「リンパ節の付属領域の乳腺をまとめて切除する(区域切除)」「片側の乳腺を全て切除する(片側乳腺全切除)」といった方法に分かれます。これらの術式は、現在ある腫瘍の摘出のみを優先するのか、今後の再発を予防することも同時に考えるかによって、選択が変わってきます。術式の選択には、腫瘍がどの乳腺にあるか、その個数、症例の状態などによって判断します。

当院では、リンパ節への転移の可能性なども考慮し、基本的には区域切除もしくは片側乳腺全切除をおすすめしています。

写真は片側乳腺全切除を実施した時のものです。同時に避妊手術も行なっているため、縫合した糸が見えていますね。これだけの範囲の皮膚をとると、術後の痛みもかなり重度になるため、術後2日間は鎮痛作用の強いお薬を使って、痛みを緩和できるようにしています。

猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍は上でも書いたように90%が悪性となるため、その後も予防も兼ねて乳腺全切除が基本となります。また、しこりがある側だけを全てとるのか、反対側の乳腺もまとめて取ってしまうのかを考える必要があります。過去の報告では、片側の乳腺だけをとった猫ちゃんと両側の乳腺を取った猫ちゃんでは、後者の方が予後がよかったされているため、できる限り両側の乳腺全切除をおすすめするようにしています。

写真は片側乳腺全切除を行なった時のものです。この手術の1ヶ月後にもう片方の乳腺も切除しました。

子宮蓄膿症・乳腺腫瘍のご相談はなんよう動物病院へ!

今回ご紹介した病気は、いずれも適切な時期に避妊手術を行なっていれば、予防が可能な病気です。当院では、将来出産させることを予定されている飼い主様以外には、必ず避妊手術をおすすめし、できる限り手術を受けていただくようにご説明しています。

現在、おうちにお迎えしたばかりの子に避妊手術を受けさせるべきかどうか、迷われている飼い主様は、当院までご相談ください!

院長の鈴木でした😃

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