犬の膝蓋骨脱臼の症状と原因、治療法について

  • 2022年11月16日
  • 最終更新日 2023年5月12日
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知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。

愛知県知立市のなんよう動物病院の院長鈴木です。

今回は、犬の膝蓋骨脱臼の症状と原因、当院での治療について説明をさせていただきます。

膝蓋骨脱臼(パテラ)について

<膝蓋骨とは?>

膝蓋骨は大腿四頭筋という太ももの筋肉、脛骨といういわゆる「すね」の間に膝蓋靱帯という靱帯により繋がっており滑車溝という溝に収まり膝の曲げ伸ばしに非常に大切な役割をしています。

しかし、この滑車溝から何かしらの原因で膝蓋骨が外れてしまう事があります。この状態の事を『膝蓋骨脱臼』と言います。

膝蓋骨脱臼になる原因として成長期の筋、骨、靭帯の形成異常(滑車溝が浅く形成されてしまう等)高い所からの落下により膝に強い力がかかってしまう、交通事故など様々な要因があります。

小型犬に多く、オスメスの性差はないと言われています。

膝の内側に膝蓋骨が脱臼する事を内方脱臼、外側に脱臼する事を外方脱臼と言います。

わんちゃんは内方脱臼がほとんどです。(大型犬は稀に外方脱臼あり)

膝蓋骨が脱臼してしまうとわんちゃんたちには膝に痛みが生じるので急に鳴く、後ろ足を上げる、スキップをするという動作が見られます。

常に脱臼している状態であるわんちゃんは痛みを感じない無症状の状態もあります。

<評価として4段階のグレード分け> (Singleton分類)

G1  (滑車溝に)膝蓋骨は収まっているが人間が手で押すと脱臼する。

G2  膝蓋骨は収まっているが後ろ足の曲げ伸ばしにより安易に脱臼する。

G3  膝蓋骨が収まっていない状態。人間の手で押すと一時的に収まる。

G4  膝蓋骨が収まっていない状態。人間の手でも正常な位置に戻らない。

これら4段階で評価し基本的にG3から手術対象になります。(筋、骨、腱が成長途中である一歳未満のわんちゃんは成長期が過ぎてから再評価します)

<知立市のなんよう動物病院での治療法>

内科治療

グレード1からグレード2までの症例に対しては内科療法が推奨されています。内科療法には痛み止めを使って痛みをとったり、脂肪酸やコンドロイチンなどの関節軟膏の保護に働く成分をサプリメントで補給する方法があります。

外科治療

①滑車溝造溝術 (溝を広げる)

②脛骨粗面転移術 (腱の付着部の移動)

③内側広筋リリース

④ラテラルスーチャー

という複数の術式を膝の状況に合わせて組み合わせて行います。

 

膝蓋骨脱臼をそのままにしておくと、膝全体へダメージがかかり骨の変形、関節炎、前十字靭帯の断裂が起きやすくなります。

先天的な膝蓋骨脱臼は防ぐ事は出来ませんが、その先の靭帯断裂、外因的予防法として以下のようなことが推奨されます。

・滑りやすいフローリングは歩かせない

・フロアマットやカーペットなどの摩擦力の高いものを敷く

・ソファ・ベッド・階段など高い場所からジャンプしない

・爪や肉球との間の毛を伸びたままにしない

かかりつけ医で治療していても症状が良くならない、又は難しくて手術ができないと言われてお困りの犬猫の飼い主様は一度当院へご相談ください。

 

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