動物病院で診断される皮膚病TOP!犬アトピー性皮膚炎の原因や治療法を皮膚科獣医師が解説

  • 2025年2月28日
  • 最終更新日 2025年3月16日
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「犬が昔から体を痒がっているけど、原因ってなんだろう?」
「犬アトピー性皮膚炎の治療は薬を飲ませる以外に何ができるの?」
このような悩みを持っていらっしゃる犬の飼い主様は多いのではないでしょうか。

今回は犬アトピー性皮膚炎について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬アトピー性皮膚炎の理解を深めましょう。

目次

  • 犬アトピー性皮膚炎とは
  • 犬アトピー性皮膚炎の原因
  • 犬アトピー性皮膚炎の症状
  • 犬アトピー性皮膚炎の診断
  • 犬アトピー性皮膚炎の治療
  • 犬アトピー性皮膚炎の管理には腸活がおすすめ
  • まとめ

犬アトピー性皮膚炎とは

犬アトピー性皮膚炎は、慢性的なかゆみを伴う皮膚疾患で3歳未満で発症することが多いといわれています。

症状は、花粉やダニなどアレルゲンに対する過敏反応によって引き起こされます。

ずっと続く強い痒みは犬にとっては非常にストレスとなり、QOLを著しく低下させる原因になります。

症状が出やすい若いうちからの適切な管理が重要です。

犬アトピー性皮膚炎の原因

「そもそも犬アトピー性皮膚炎の原因ってなんだろう?」
このように思われてアレルギー検査を検討されている飼い主様も多いと思います。
犬アトピー性皮膚炎は以下のような要因が関与していると言われています。

遺伝的要因

犬アトピー性皮膚炎では遺伝的な要因がかなり深くかかわっており、発症しやすい特定の犬種が知られています。

・柴犬

・フレンチ・ブルドッグ

・シーズー

これらの犬種の飼い主様はちょっとした体のかゆみでも見逃さないように日々の様子を観察していただくことをおすすめしています。

 

環境要因

室内に生息するダニ(ハウスダストマイト)やほこり、花粉、カビなどのアレルゲンが原因となることが多いです。これらのアレルゲンが犬の体内に侵入すると、免疫系が過剰に反応し、かゆみや炎症を引き起こします

特に室内で飼育されているわんちゃんは室内のダニやほこりに暴露される機会が多く、アトピー性皮膚炎の発症要因になる可能性がありますので、定期的な掃除や換気、空気清浄機の導入などで室内のアレルゲンを減らす工夫が必要です。

 

皮膚バリア機能の低下

健康な皮膚は外部からの刺激を防ぐバリア機能を持っていますが、アトピー性皮膚炎の犬ではこの機能が低下しているため、アレルゲンが侵入しやすくなります。また皮膚の細胞の間から水がぬけていくことで乾燥しやすい状態になっています。
適切な保湿や定期的なシャンプーを行い、皮膚のバリア機能を改善・維持することが重要です。これにより、アレルゲンの侵入を減らし、症状の悪化を防ぐことができます。

 

常在細菌バランスの悪化

犬アトピー性皮膚炎の患者では、皮膚の上と腸内に存在する細菌のバランスが悪くなっていることが明らかになってきました。

このバランスを正常にもどしてあげることで皮膚の状態を改善できることが期待されています。

犬アトピー性皮膚炎の症状

かゆみ

特に耳や顔、足先、脇の下、お腹周りなどに強いかゆみが見られます。これらの部分は皮膚が薄く、アレルゲンの侵入に敏感なため、症状が出やすくなっています。かゆみが続くことで掻き壊しや脱毛が生じることもあります。

皮膚の赤みや湿疹

初期段階では湿疹や赤みが見られますが、進行すると慢性的な皮膚炎に発展し、皮膚が厚くなったり色素沈着が見られることもあります

犬アトピー性皮膚炎の診断

犬アトピー性皮膚炎の診断のスタンダードは、他の皮膚病を除外していく「除外診断」です。

同じようなかゆみを起こす皮膚病としては、膿皮症やマラセチア皮膚炎、食物アレルギーなどがあります。

最終的に、ほかの皮膚病を検査にて除外してから犬アトピー性皮膚炎と診断します。

また犬アトピー性皮膚炎には以下の特徴がみられることがあります。

✅年齢:3歳未満で発症することが多いです。

✅飼育場所:主に室内飼育のわんちゃんで発症しやすいといわれています。

✅かゆみ止めに反応:ステロイドやアポキルといったアレルギー用のかゆみ止めで症状が改善します。

✅症状が出る場所:前肢や耳に症状がよく出ますが、腰のあたりや耳の縁には症状がないことが一般的です。

✅慢性・再発性の感染:マラセチアの増殖がたびたび起こります。

犬アトピー性皮膚炎の治療

残念ながら犬アトピー性皮膚炎は完治が難しいため、症状を管理するための治療法が重要です。犬アトピー性皮膚炎の治療には薬だけでなく、スキンケアも必要になってきます。

薬物療法

ステロイド剤や免疫抑制剤(シクロスポリンなど)を使用してかゆみを抑えます。最近では副作用が少ない新しい薬(アポキル・ゼンレリアなど)も利用されています。これらの薬剤は、アレルゲンに対する過敏反応を抑制し、犬のQOLを大きく向上させることが期待できます。

スキンケア

スキンケアも犬アトピー性皮膚炎の管理において欠かすことができない重要な要素です。低刺激性のシャンプーや保湿剤を使用することで、皮膚バリア機能を強化し、乾燥を防ぐことができます。定期的なシャンプーはアレルゲンを洗い流し、皮膚を清潔に保つために重要です。アトピーの犬では皮膚のセラミドが減少していることがわかっているため、セラミドを豊富に含んだ製品がおすすめです。

食事療法

犬アトピー性皮膚炎の犬では、良質な脂質(オメガ3脂肪酸)をたくさん摂取することで皮膚の炎症が軽減したり、薬の量を減らせることが期待できます。

オメガ3脂肪酸を豊富に含んだフードや食事、サプリメントをつかってあげるようにしましょう、

生活環境の改善

犬アトピー性皮膚炎の原因となるアレルゲンを減らすためには、定期的な掃除や換気、空気清浄機の使用が効果的です。
遺伝的要因が関与するため完全な予防は難しいですが、環境を整えることで症状の軽減が期待できます。

犬アトピー性皮膚炎の管理には腸活がおすすめ?

犬アトピー性皮膚炎は、腸内環境の改善を通じて症状の改善が期待できるとされています。
腸活とは、プロバイオティクス(有益な微生物)やプレバイオティクス(善玉菌の餌となる成分)を摂取し、細菌のバランスを整えていくことです。具体的には、乳酸菌やオリゴ糖を含むサプリメントが効果的とされています。
腸内の善玉菌が育ってくると、免疫のバランスを調整する細胞が活性化することがわかっています。この細胞たちが皮膚の免疫にも影響を与え、皮膚のバリア機能も改善される可能性があります。
腸内環境が良好になると、皮膚以外の全体的な健康状態が向上し、皮膚の健康も改善されることが期待されます。
ただし、腸活による効果は薬剤のように即効性があるわけではなく、長期的な取り組みが必要です。3~6か月ほどの期間を目安にして腸活にチャレンジしてみてください。

まとめ

このように、犬のアトピー性皮膚炎は多因性の病気であり、個々の犬に合わせた治療計画が必要です。完治することは難しい病気ですが、症状を抑えながらうまく付き合っていくことを目標にしましょう。
薬物療法だけでなく、スキンケアや体質改善などにも取り組むことも愛犬が健康に過ごす上で大切です。

 

当院は皮膚科診療に力を入れています。
犬のかゆみがよくならないなどのお悩みをお持ちの飼い主様はお気軽にご相談ください。

愛知県知立市の動物病院 なんよう動物病院

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お知らせ

当院では、皮膚病のわんちゃん・猫ちゃんに対して、体の内側と外側からのスキンケアによる体質改善をご提案しています。

【体の内側からのスキンケア】

①乳酸菌+オリゴ糖の摂取による腸内環境改善

現在、医学分野でも獣医学分野でも腸内環境の研究が進んでおり、腸内細菌のアンバランスによって様々な病気の原因になりうることがわかってきました。

腸内環境を整えることにより体の免疫バランスが整い、アトピーなどの皮膚トラブルの治療に有効な結果が出ています。

当院がプロデュースした乳酸菌サプリメントはこちらからご購入いただけます。

 

②血管内皮細胞の強化

血管内皮細胞は血管の収縮を助け、血液をよどみなく全身に送るために必要です。この「血管内皮細胞」が衰えてくると、血液の循環が悪くなり栄養や酸素が十分に行き渡らなくなります。当院では、血管内皮細胞の衰え・機能障害を緩和するために抗酸化物質を積極的に摂取することをおすすめしています。

当院がプロデュースした抗酸化サプリメントはこちらからご購入いただけます。

 

【体の外側からのスキンケア】

ペットの皮膚は人間の皮膚と比べて、非常にデリケートです。不適切なシャンプーや不十分な保湿、洗浄のしすぎなどまだまだ正しいスキンケアが浸透していないのが現状です。

当院では、汚れが多い子用のクレンジングからオールインワンのシャンプー、洗浄後に使用できる2種類の保湿剤など自信を持っておすすめできるスキンケアシリーズを開発しています。

当院がプロデュースしたスキンケア製品はこちらからご購入いただけます。

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