知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。
愛知県知立市のなんよう動物病院の院長の鈴木です。
今回は、犬の熱中症の症状と原因、当院での治療、そして熱中症の対策について説明をさせていただきます。
熱中症は、高温多湿の環境下で体温が上昇し、脱水症状が生じる全身性の疾患です。犬の場合、重症度が高く緊急治療が必要なケースが多く見られます。早期発見と適切な対応が命を救うカギとなります。
<熱中症の症状>
熱中症の症状は多岐にわたりますが、主なものには、粘膜の赤み、息が荒い、嘔吐、下痢、よだれ、意識障害、痙攣発作などがあります。これらの症状が現れた場合は、速やかに獣医師の診察を受けるようにしましょう。
犬の熱中症の主な原因は以下のようなものが挙げられます。
これらの条件が揃うと、30分程度の短時間の運動でも熱中症を起こすことがあります。
熱放散能が低下する要因として、短頭種、肥満、また呼吸器疾患や心疾患といった病的状態があります。
熱中症に陥り高体温になると、細胞を構成するタンパク質が変性を起こし、全身の臓器が障害を受けることとなりますこれが命に関わる事態につながることもありますので、注意が必要です。
熱中症治療の基本は、体の冷却+ダメージを受けた臓器の機能回復です。
体を冷やす場合は濡れたタオルで体を覆って扇風機で風を送ったり、流水を体にかけて上げるようにします。また保冷剤をタオルで包み、脇や股といった太い血管が走っているところに当ててあげることも効果的です。
臓器の機能回復としては、体の酸素不足+重度の脱水状態に陥っていることが多いため、酸素吸入と点滴をしてあげることが第一の治療となります。
その他、脱水による急性腎不全、消化管バリア機能低下による細菌感染、低血糖状態、高体温に伴うDIC(播種性血管内凝固症候群)、嘔吐や下痢といった消化器症状、痙攣発作などはそれぞれの症状に合わせて、治療プランを組んでいきます。
熱中症の予防策としては、高温多湿の環境を避けることが最も重要です。室内ではエアコンを適切な温度設定(24〜26℃)にし、外出時は犬の体調や気温に十分注意してください。
熱放散能が低下している犬種では、高温でなくても熱中症になるリスクが高まります。特に、フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、気道が狭く呼吸困難を起こしやすいため、熱中症に注意が必要です。飼い主さんは、病的な状態であれば適切な治療を受けさせることが大切です。
犬の熱中症は、飼い主さんが適切な対策を講じることで予防が可能です。愛犬の健康を守るためにも、日頃から熱中症対策を心掛けましょう。