犬の肺水腫の症状と原因、治療について|獣医師が解説

  • 2023年4月21日
  • 最終更新日 2023年4月21日
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知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。

愛知県知立市のなんよう動物病院の院長鈴木です。

今回は、犬の肺水腫について、その主な症状や原因、治療法について解説します。肺水腫は犬にとって深刻な病気であり、適切な治療が必要です。このブログが、飼い主さんにとって有益な情報となることを願っています。

 

<肺水腫の主な症状>

肺水腫は、肺に水分がたまることで起こる病気です。この状態が進行すると、犬は呼吸が苦しくなります。

以下は、肺水腫の主な症状です。

呼吸困難:犬は通常よりも呼吸が速くなり、呼吸が浅くなることがあります。

咳:肺水腫の犬は、特に労作時や寝ているときに咳をします。

鼻水・鼻血:鼻水や鼻血が出ることがあります。

青ざめた粘膜:口や目の周りの粘膜が青っぽくなることがあります。

体重減少:食欲不振や呼吸困難により、体重が減少することがあります。

これらの症状がある場合は、速やかに獣医師の診察を受けてください。

<肺水腫が起こる原因>

肺水腫の原因は、心臓に関するものと心臓に関連しないものがあります。

肺水腫につながることが多い心臓病には以下のような疾患があります。

・僧帽弁逆流症(MMVD):僧帽弁逆流症は、小型犬に多く見られる心臓病で、僧帽弁の機能不全により、左心房への血液逆流が起こります。これにより、左心房の拡張や肺静脈圧の上昇が起こり、肺水腫を引き起こす可能性があります。

・心筋症:心筋症は、心筋の働きが悪くなることで心臓の収縮力が低下し、血液循環が悪化します。特に拡張型心筋症(DCM)は、大型犬に多く見られ、心臓のポンプ機能が低下し、肺水腫を引き起こすリスクがあります。

・先天性心疾患:犬の先天性心疾患は、生まれつき心臓に異常がある状態です。その中でも、特に動脈管開存症や僧帽弁異常などが、肺水腫の原因となることがあります。

心臓病と関連しない肺水腫の原因には以下のようなものがあります。

肺炎:細菌感染による肺炎や、ウイルス性肺炎などが原因で肺水腫が起こることがあります。

アレルギー:アレルギー性の肺炎や喘息が原因で、肺に水分が溜まることがあります。

肺虫症:肺に寄生する虫による感染症で、肺水腫を引き起こすことがあります。

外傷:事故や転倒などによる肺の外傷が、肺水腫を引き起こすことがあります。

毒物:薬物や毒素の摂取が原因で、肺水腫が起こることがあります。

 

<知立市のなんよう動物病院での肺水腫の治療>

肺水腫の治療は、原因に応じて異なります。まずは獣医師による適切な診断が必要です。その後、以下のような治療が行われます。

酸素療法:呼吸困難を軽減するために、酸素ケージでの酸素吸入療法が行われます。

薬物療法:原因に応じて、抗生物質、抗炎症薬、利尿剤、心臓補強薬などが使用されます。

寄生虫駆除:肺虫症が原因の場合、寄生虫を駆除する薬が投与されます。

開胸手術:外傷が原因の場合、緊急で開胸手術が行われることがあります。

<犬の肺水腫の予防方法>

肺水腫の予防には、以下のポイントに注意してケアを行うことが重要です。

定期的な健康診断:早期発見のために、定期的な健康診断を受けましょう。

適切な運動量:過度な運動は心臓に負担をかけるため、適切な運動量を維持しましょう。

バランスの良い食事:栄養バランスの良い食事で、犬の健康をサポートしましょう。

無理な摂取の防止:誤飲や毒物の摂取を防ぐため、家庭内での安全対策を行いましょう。

 

<まとめ>

犬の肺水腫は、深刻な病気であり、適切な治療が必要です。愛犬の健康状態を常に観察し、症状に気付いたら速やかに獣医師に相談してください。また、定期的な健康診断や適切なケアを行い、予防に努めることが大切です。

特に、心臓病が原因で肺水腫が起こることが多いため、心臓病のリスクを低減することが重要です。適切な運動量やバランスの良い食事、ストレスの軽減など、基本的なケアが大切です。

このブログが、飼い主さんにとって参考になり、愛犬の健康維持に役立てることができれば幸いです。愛犬と共に、健やかで幸せな毎日を過ごしましょう。

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