知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市の皆様、こんにちは。愛知県知立市のなんよう動物病院院長の鈴木です。今回のブログでは、犬の腸閉塞の症状、原因、検査方法、そして当院での治療について詳しくご説明させていただきます。
腸閉塞とは、腸が完全に塞がれている状態、または腸の内容物が深刻な通過障害を起こしている状態を指します。腸閉塞には2つのタイプがあります。機械的閉塞は、腸の中が物によって塞がれている状態です。一方、機能的閉塞は、腸の動きが正常に行われなくなる状態です。腸閉塞が重度の場合、腸に穴が開き腹腔内に腸内要物が流れ出し腹膜炎を引き起こしたり、詰まっている部分の腸が壊死してしまうことがあります。
腸閉塞の典型的な症状は以下の通りです。
・食べたご飯を頻繁に吐く
・食欲がない
・お腹が痛そうにしている
・便が出ない
これらの症状が見られる場合、腸閉塞の可能性が高まります。
腸閉塞は機械的閉塞と機能的閉塞の2つの原因で起こります。
機械的閉塞の主な原因:
・異物(おもちゃ、果物の種など)
・腸捻転、腸重積、腸ヘルニア
・重度の便秘
・腹腔内腫瘍(腸腺癌など)
機能的閉塞の主な原因:
・神経麻痺
・腹膜炎などの重度の炎症による腸の運動低下
腸閉塞の疑いがある場合、以下の検査方法を用いて正確な診断を行います。
・血液検査:炎症の有無や肝臓の数値による全身状態を把握します。
・X線検査:X線に写る異物であれば判断できます。
・X線造影検査:X線に写らない異物などが腸管内にある場合、造影剤が肛門の方まで流れないので判断できます。
・超音波検査:X線に写らない異物や腫瘍、重積を確認することができます。
・腸生検・病理組織学検査:腸を圧迫する塊があった場合、それが腫瘍なのか、腫瘍であった場合は悪性なのか良性なのか確認することができます。
・試験的開腹:上記の検査で判断がつかない場合に、犬の全身状態が良ければ、全身麻酔をかけながらお腹を開けて原因を探ります。
腸閉塞が確認された場合、検査結果に基づいて治療方針が決まります。異物が疑われる場合は手術で異物を取り出し、閉塞を解除してあげる必要があります。腸捻転、腸重積、腸ヘルニアも同様にその状態を解除してあげる必要があります。その後入院をしていただいて、しっかりとご飯を食べて便が出るようになれば退院できます。
腫瘍が疑われる場合は手術にて病変部から採材して外部検査に出し、その結果によって今後の治療方針を検討します。悪性腫瘍の場合は、腫瘍摘出手術や化学療法、放射線治療などが検討されます。
腸閉塞は犬にとって非常に危険な状態であり、迅速かつ適切な治療が重要です。飼い主様は、犬の症状に十分注意し、腸閉塞の兆候が見られた場合は速やかに獣医師に相談してください。
また腸閉塞を予防するために、犬が食べられる範囲の異物を十分に管理することが大切です。