犬の糖尿病の症状と原因、治療について

  • 2022年11月16日
  • 最終更新日 2023年4月21日
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知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。

愛知県知立市のなんよう動物病院の院長の鈴木です。

今回は、犬の糖尿病の症状と原因、当院での治療について説明をさせていただきます。

<糖尿病とは>

糖尿病はインスリンの量の減少もしくは作用の低下により、高血糖状態が生じ、さまざまな代謝異常を引き起こす病気です。

<糖尿病の症状>

・水を飲む量が増えた

・おしっこの回数や量が多い

・食事量が変わらないのに痩せてきている

・白内障(犬で多い)

<糖尿病の原因>

  • インスリンの量の減少

このタイプの糖尿病はインスリンを分泌する膵臓の細胞数が減少することで十分なインスリン量が維持できなくなります。膵臓細胞数が減少する要因として、自己免疫が関わっていると言われていますが、正確な要因はまだ解明されていません。

  • インスリンの作用の低下(インスリン耐性)

このタイプの糖尿病はインスリンが効きづらくなる原因があり、インスリンが出ていても血糖値が下がらなくなってしまう状態になります。インスリン耐性が出やすい疾患や状態として、以下のようなものが挙げられます。

・クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

クッシング症候群は副腎からのステロイド分泌が過剰になる疾患です。この場合はクッシング症候群の治療も必要とします。

同様に、他の治療目的でステロイド薬を使用していると医原性クッシングになっている事があります。この場合は、体調を見ながらステロイドの使用量を減らしていく調節を行う必要があります。

・未避妊雌の発情と偽妊娠

発情から2~3か月の間は「プロジェステロン」と言うホルモンが分泌されます。このプロジェステロンはインスリンに効きにくくすると言われています。未避妊の子で糖尿病のコントロールができない場合は、避妊手術を行う場合があります。

  • 膵臓の負荷

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されますが、そこが傷害を受け分泌能力が低下しても糖尿病のリスク因子となります。膵炎などの膵臓疾患がある場合はその治療も必要になります。

<知立市のなんよう動物病院での治療法>

糖尿病を疑う動物が来院された際には必ず、血液検査や画像診断を行います。そこで上記でご紹介したような糖尿病の基礎となる疾患が見つかった場合には血糖コントロールと同時に基礎疾患の治療をおこなっていきます。

犬の糖尿病の原因はインスリン分泌量の減少が圧倒的に多いので、ご自宅でインスリンを投与していただくことが多いです。

ケトアシドーシスに陥っている場合は緊急の入院を必要とします。重度の高血糖状態と脱水に加え、ミネラルバランスにも異常を起こしていることが多いため、状態によっては入院治療でも救命できない場合もあります。

食事管理も重要で、一般には糖尿病用のフードを与えていただくことになります。また療法食として販売されているフードを食べてくれない場合には、高蛋白、低炭水化物、低脂質、高繊維を意識して手作り食を使用していただくこともあります。

インスリンの効果が出る量には個体差があるため、使用開始時には少しずつ量を増やしていき血糖値が安定する量を確認する作業が必要になります。食事管理とインスリンの量が決まれば定期的に血糖測定を行い、経過を見ていきます。

最初は注射を打つのが難しそうと言われる方が多いですが、投与に慣れるまでの間は病院で練習をしていただきますので、ご安心ください。

 

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