犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状と原因、治療について

  • 2022年11月16日
  • 最終更新日 2023年4月24日
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知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。

愛知県知立市のなんよう動物病院の院長鈴木です。

今回は、犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状と原因、当院での治療について説明をさせていただきます。

<副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)とは>

脳の下垂体(司令部)から副腎皮質にACTH(命令ホルモン)というホルモンが分泌されています。

脳から指令を受けた副腎皮質からはコルチゾールというホルモンが身体中に分泌されます。

コルチゾールは身体に対して脂肪分解、糖新生、血糖値上昇、筋肉代謝、抗炎症作用、免疫抑制など様々な働きを担う大切なホルモンです。

このホルモンが過剰に分泌されてしまい、様々な症状が出る疾患をクッシング症候群と言います。

中齢から高齢に多く、オスメスの差はないと言われています。

<副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の症状>

・水をよく飲み、よく排尿する(多飲多尿)

・呼吸が速くなる

・食欲が増す

・左右対称に毛が抜ける、毛艶がなくなる

・お腹が張って、垂れてくる

さらに病気が進行すると免疫力が低下し、皮膚の感染、膀胱炎、時には糖尿病や皮膚の石灰沈着を併発する事があります。

<副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の原因>

原因は大きく分けて3つあります。

  • 下垂体腫瘍(下垂体巨大腺腫)

脳の下垂体にできた腫瘍によってACTHの分泌量が増加することでコルチゾールも分泌過剰になります。

これが原因での発症が最も多く見られます。

  • 副腎腫瘍

下垂体の働きは正常でも副腎が腫瘍化する事で下垂体からのACTHの命令に関係なくコルチゾールを過剰分泌してしまいます。

  • 医原性

ステロイド剤の過剰投与もしくは長期投与により副腎から大量のコルチゾールが分泌されている状態と同じような状況が作り出されます。これを医原性クッシング症候群と呼びます。

<副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の診断>

クッシング症候群の診断は、血液検査、超音波検査、レントゲン検査、ホルモン検査を用いて行います。

血液検査:肝臓の数値やコレステロールの増加が確認されます。また血球計算では、一部の白血球が増加していることがあります。

超音波検査・レントゲン検査:肝臓の大きさを確認し、ほとんどの場合肝臓が肥大しています。また、胆嚢に胆泥が溜まっていることがあります。

ホルモン検査:ACTH刺激試験を行います。ACTH刺激試験とは、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)をわざと注射し、注射前、注射60分後の2回採血を行い血中のコルチゾール濃度測定を行います。副腎皮質機能亢進症の場合、注射後のコルチゾールが大きく上昇します。

 

〈知立市のなんよう動物病院の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の治療法〉

当院では、過剰に分泌されるホルモンを抑える内科療法を主として行います。完治は難しいものの、症状を抑えることができます。

ただし、薬の効果が強すぎるとコルチゾールが作られなくなり、副腎皮質機能低下症(アジソン症)を引き起こすことがあるため、定期的な検査やモニタリングが必要です。

 

<まとめ>

副腎皮質機能亢進症は、適切な治療が受けられれば生命に影響を与えることは少なく、寿命を全うできる可能性が高い疾患です。多飲多尿などの症状に気づかず病状が進行すると、長期間ステロイドホルモンに晒された臓器の機能が変化し、それにより体調不良を訴えることがあります。

飼い主様が普段と違う様子に気づくことが早期発見・早期治療につながりますので、普段の食事量や飲水量はできるだけ把握しておくようにしましょう!

 

 

 

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