【皮膚科】ボーダーコリーの淡色被毛脱毛症(CDA)

  • 2019年10月10日
  • 最終更新日 2024年1月26日
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知立市・刈谷市・安城市のなんよう動物病院です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

今回は比較的珍しい淡色被毛脱毛症という先天性の皮膚病の症例です。

【症例】

ボーダーコリー、1歳齢

【症状】

小さい頃から濃い毛の部分だけがハゲている

白い毛はしっかり生えていますが、ブルーの毛の部分は脱毛が目立っています。

【診断】

この症例のように毛色や症状からある程度疾患を予測する場合、検査も絞って行うことができます。通常であれば、皮膚表面の細胞診、毛検査、皮膚掻爬検査、ウッド灯検査、皮膚糸状菌培養など様々な検査が必要になります。しかし、症状から淡色被毛脱毛症などの特徴的な疾患を予想する場合は、まずは疑う疾患を確定もしくは除外するための検査から入っていってもいいのではないかなと考えています。

本症例では初めに毛検査のみ実施しました。

写真のように毛のコルテックス(実の部分)に黒い塊が出ているのがわかるかと思います。これは通常はないもので、メラニンクランプ(メラニン色素の塊です)といいます。

これが出ているということはほぼ淡色被毛脱毛症で確定診断を出してもいいでしょう。もちろん皮膚内部の変化も見た方がより100%に近い診断ができますが、少し痛みを伴う検査になりますのでそこまでしなくても良いかと思います。

淡色被毛脱毛症はブルーやフォーンなどの淡色化した被毛を有する犬に起こる病気です。この病気は遺伝子異常による病気のため、1歳未満で発症することがほとんどです。好発犬種はド―ベルマン、ダックスフンド、グレート・デン、イタリアン・グレーハウンド、チワワ、ミニチュア・ピンシャ―などです。日本では小型犬の飼育頭数が多いため、小型犬でより多く見られるかと思います。

脱毛と呼んでいますが、実際には皮膚の色素を形成するメラニンの分布異常によりメラニンが毛に集中することで毛が折れやすくなり、毛が抜けているように見える病気です。はじめは毛の断裂ですが、進行すると部分的な脱毛、完全な脱毛へと変化していきます。脱毛部位は乾燥し、鱗屑(フケ)を伴うことがあります。また、皮膚のバリア機能も低下しているといわれており、二次的な細菌感染を起こし再発性の膿皮症に悩む症例もいます。

【治療】

遺伝性の病気であるため、特効薬のような治療は存在しません。

・シャンプーをできるだけやさしくやってあげる

・刺激から守ってあげるために服をきせてあげる

・バリア機能の改善のため、保湿剤やサプリメントを併用する

以上のケアにより、脱毛や再発性の細菌感染を抑えることが期待できます。

本症例では脱毛以外の症状は見られませんでしたが、膿皮症や他の感染など皮膚バリア機能の低下に付随しておこる異常にも気を配っていく必要があります。

当院HPには多数の症例報告を掲載していますので、ぜひご覧ください!

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