【皮膚科】柴犬のノミアレルギー性皮膚炎

  • 2021年2月15日
  • 最終更新日 2023年5月12日
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知立市・刈谷市・安城市のなんよう動物病院です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

今回はノミに寄生された結果、アレルギー反応を起こし、痒みと脱毛でご来院されたわんちゃんをご紹介します。

【症例】

柴犬、去勢雄、12歳齢

【症状】

腰の辺りを非常に痒がり、よく噛んでいる。ここ1ヶ月くらいで毛が抜けてしまった。少し前に山に連れて行った。

【診断】

まずは痒みがあるということなので、痒みを生じる皮膚病をリストアップしてみましょう。

・皮膚の感染症(細菌、カビ)

・寄生虫(ノミ、ヒゼンダニ(疥癬)、ニキビダニ)

・アレルギー(食物アレルギー、犬アトピー性皮膚炎)

・角化異常

・皮膚の免疫異常

・皮膚腫瘍

これらを除外していく必要があります。皮膚の症状が出る前に山に連れて行ったというのは、大きな情報ですね!山には寄生虫がたくさんいますので、普段は行かない山や川にレジャーなどに行った後は要注意です。

今回の柴犬の子のように左右対称に毛が抜ける場合、細菌やカビなどの感染症の可能性はあまり高くありません。細菌やカビに感染された場合、フケを作ったり、脱毛したりして病原体を皮膚から排除しようとします。そのため、左右対称的に規則正しくフケが出たりすることはなく、バラバラにあちらこちらに皮膚の病変が出ることが多いのです。写真のような脱毛部から皮膚科検査を行うとこれらの菌が検出されることはありますが、主原因ではなく、別の皮膚疾患があり皮膚のコンディションが悪くなったところに二次的に感染したものと考える必要があります。

本症例では、皮膚科検査で細菌やカビ、ダニなどは検出されませんでした。また、免疫異常や腫瘍を疑うような皮膚の病変も見つけることができませんでした。

次にお腹を見ようとしてひっくり返してみると、ノミが毛の間を動いているのが見えました。ここで一旦、診断は「ノミアレルギー性皮膚炎」としました。腰にできる左右対称性の脱毛病変はノミアレルギー性皮膚炎によくみられるものだからです。

ノミが関連する皮膚病は大きく分けると2種類になります。ノミが多数寄生することで起こるノミ刺症(いわゆる虫刺され)と少数のノミ寄生でも起こるノミアレルギー性皮膚炎です。虫刺されの場合は、ノミがいるところがランダムに刺されて赤くなるため、今回のように左右対称に病変が出ることはありません。このような脱毛はアレルギーのように体の内面の反応に影響を受けるものであると考えられています。

治療にはノミを駆除する必要があります。よく病院で処方されるノミの予防薬を使用するのが良いでしょう。また、室内で繁殖しているノミの卵や幼虫を駆除しなければいけませんので、こまめな掃除や駆除薬の使用が必要になります。

ノミアレルギー性皮膚炎はその名の通り、アレルギー疾患です。ノミが駆虫されていなくなったとしても、アレルギー反応はしばらく続きます。そのため、アレルギー反応が落ち着くまでは痒み止めを使用してあげることで楽に過ごすことができるでしょう。

今回の柴犬くんも駆虫薬を使用しつつ、2週間ほど痒み止めを併用していただきました。

治療開始から1ヶ月後の写真です。

まだ完全に毛が生えそろっているわけではありませんが、痒みのない生活が送れるようになりました。もう少し時間がたてば、元どおりのフサフサな姿に戻れるでしょう!

この子はこの脱毛以降、毎月ノミの予防を行うようになってからは脱毛は出ていません。寄生虫には定期的な予防が大切ですね!

おうちのわんちゃん、ねこちゃんの皮膚病でお困りの飼い主様は当院まで、ご相談ください。

当院HPには多数の症例報告を掲載していますので、ぜひご覧ください!

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