【皮膚科】猫の皮膚糸状菌症・ミヌエット

  • 2021年5月18日
  • 最終更新日 2023年10月17日
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知立市・刈谷市のなんよう動物病院です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

当院は愛知県のほぼ中央、知立市にありますが刈谷市、安城市、豊田市、岡崎市など近隣の市町村だけでなく、名古屋市、日進市、半田市、大府市、東海市、西尾市、蒲郡市、豊橋市など県内の各地から多くの患者様にご来院いただいています。

 

今回ご紹介する症例は猫でよくみる皮膚糸状菌症というカビの症例です。

【症例】

ミヌエット、1歳4ヶ月齢、去勢オス

【症状】

顔や耳に大量のふけがついている。他院で治療をしており、ステロイドや免疫抑制剤を使用しても全くよくならない。かゆみはあまりない。

飼い主さんにも皮膚の赤みが出ている。

確かに見てみると目の上と耳にすごい量のフケが出ていますね!お腹にも円形の湿疹が出ています。

【診断】

今回のポイントは、若い猫ちゃんでステロイドや免疫抑制剤を使ってもよくならないことと、かゆみがあまり見られないことです。

ねこちゃんでステロイドを使う必要のある皮膚病というと、アレルギーや寄生虫、特殊な免疫疾患による重度のかゆみを想像しますが、今回の症例はあまりかゆみが出ていません。

こういった情報からだけでもまず疑うべきなのは「皮膚糸状菌症」です。

このカビは人にもうつりますし、衣服についた状態で他の動物を触ると伝染させてしまう可能性があります。そのため、この子の診察では初めから看護師さんに手術用の防護服を着てもらいました。これで診察後に服を捨てれば、感染を拡大させる心配はありませんね。

 

寄生虫を検出する検査では特に異常は見当たりませんでした。次にある種のカビに当てると反応して光る特殊なライトを当ててみると・・・

やはり光ってます!あまりフケが多くなかった鼻の上にも集中して光っている部分があります。

ここから光っている毛を採取し、実際に毛の周囲にカビが繁殖しているかを顕微鏡で確認します。

また、今回のカビのような皮膚糸状菌と呼ばれる菌は人にも感染します。人に感染した場合は、「リングワーム状」の赤い円形の湿疹を形成しますので、心当たりがある方はすぐに皮膚科へ行きましょう!

【治療】

治療は原則として、飲み薬での治療を行います。ただし、抗真菌薬は一定の確率で肝障害を発生させることがありますので、使用前には必ず血液検査を行い肝臓の状態を確認する必要があります。また飲み終わりも長く、検査でカビが陰性と判定されてからさらに1カ月間の内服が推奨されています。

治療の一環として、シャンプーを推奨されている先生もいらっしゃいますが、私はあまりおすすめしていません。それは自宅でシャンプーをすると、ほぼ間違いなく家の中にカビを撒き散らしてしまうからです。カビは人にもうつりますので、ご自宅で感染を拡大させないようにすることは非常に重要です。

シャンプーよりも効果的なのは毛を刈ってしまうことです。できれば、全身の毛を丸坊主にしてしまってもいいかもしれません。カビは毛にくっついて増殖しますから、毛がなければ効率よく増えることができないんですね。

この症例では内服に加えて、毛を刈ったところに塗り薬の抗真菌薬を併用していただきました。感染が重度な子は両方を同時にスタートした方が完治までの期間が短いような印象です。

カビはねこちゃんだけではなく、同居のご家族やわんちゃんにもうつる厄介な病気です。若い猫ちゃんがあまり痒みがないのに全身の毛が抜けてきたり、フケが目立ってきたら、早めに動物病院にかかりましょう!

 

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