【耳科】アメリカンコッカースパニエルの重度外耳炎・ビタミンA反応性皮膚症

  • 2022年1月9日
  • 最終更新日 2023年10月17日
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犬・猫の痒みや脱毛などで一般的な治療を行っても改善しない症例を専門に診察・治療を行っているなんよう動物病院です。

当院は愛知県のほぼ中央、知立市にありますが刈谷市、安城市、豊田市、岡崎市など近隣の市町村だけでなく、名古屋市、日進市、半田市、大府市、東海市、西尾市、蒲郡市、豊橋市など県内の各地から多くの患者様にご来院いただいています。

 

当院では皮膚科だけではなく、耳科の治療にも力を入れています。

【症例】

アメリカンコッカースパニエル、1歳齢、避妊メス

【症状】

1ヶ月以上前から耳だれが続いている。痒みがひどく、常に耳を気にしている。

初診時は動画のように耳道の入り口に大量の耳垢が溜まり、耳道が閉塞していました。

このままでは状況が全くわからないので、一旦溜まっている耳垢を洗浄しました。

洗浄後に耳垢がなくなると、耳の赤みや腫れがよくわかりますね。耳の入口が重度に腫れて赤みも強いです。かなりの外耳炎を起こしていることがわかります。

【診断・治療】

この症例のように耳垢が溜まっている場合、細菌やマラセチアが同時に増殖しているケースがほとんどです。今回もブドウ球菌とマラセチアが大量に増殖していました。ここまで耳道が閉塞している場合、外からの点耳薬と内側からの内服薬を同時に使用し、一気に腫れを引かせてあげたほうが順調に改善することが多いです。あまり時間をかけてしまうと炎症で腫れた耳道が繊維化を起こし、硬くなってしまいます。そうすると炎症を引かせる薬を使っても元の形には戻りません。

まずは点耳薬と内服薬で耳道入り口の腫れを引かせます。そのあとは鼓膜手前に溜まった耳垢を除去する必要があります。鼓膜前を洗浄するには、特殊なスコープを使って洗浄を行わなければいけません。下の動画のように細いカテーテルを使って、耳道奥にこびりついた耳垢をこそぎ取っていきます。

洗浄が終わるとこれくらい綺麗になります。

外耳炎を一度治療した後は再発しないように原因を探査する必要があります。

今回の症例はアメリカンコッカースパニエルです。この犬種は脂漏症や角化異常を起こしやすい犬種です。さらにアメリカンコッカースパニエルの角化異常にはビタミンAの代謝異常が関わっていることが多いと言われています。そのため、今回は外耳炎の再発予防としてビタミンAを補充していただくことにしました。また耳道内の微生物の増殖をコントロールする酵素で定期的に耳を洗浄していただくことで、外耳炎の再発がなくなりました。今回の外耳炎の根本原因は「ビタミンA反応性皮膚症」だったということですね!

初回治療から3か月経過した時点での右耳がこのようになります。耳の赤みや腫れはなく、耳垢もついていないためとても綺麗ですね。今はお薬の内服と週1回の点耳薬でこの状態を維持することができています。

 

皮膚科と耳科は共通点が多く、皮膚科に精通した獣医師が耳科もみていることが多いです。

当院では、耳道内視鏡を導入していますので今回のように鼓膜前の洗浄が必要なケースでも治療の対応が可能です。

外耳炎が治らずお困りの飼い主様は、ぜひご相談ください!

 

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