知立市・刈谷市・安城市のなんよう動物病院です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。
今回ご紹介する症例は特に子猫に多いカビ(皮膚糸状菌症)の症例です。
雑種猫、7ヶ月齢、雌
顔や耳の毛が薄くなっている。かゆみはあまりない。
ねこちゃんの皮膚病を診断するためには、わんちゃんの時とは全く異なる考え方をしなければなりません。
それは、よく起こる感染症にしても犬と猫で全く違うからです。例えば、犬でよく見かける膿皮症は猫では稀とされています。
猫の脱毛症は、感染(真菌)、寄生虫(ノミ、ダニ)、アレルギー、角化症、免疫異常、腫瘍、身体的・精神的要因などが原因となります。
今回のねこちゃんは、生後7ヶ月齢ととても若く、もともと外にいた子が保護されていたため、感染や寄生虫が強く疑われました。
寄生虫の検査では特に異常は見当たりませんでした。次にある種のカビに当てると反応して光る特殊なライトを当ててみると・・・
耳を中心にメチャクチャ光ってますね!
私はこの色をグリーンアップルみたいな色と表現していますが、カビは毛に感染しますので感染が起こっている毛は写真のように鮮やかな色で光ります。
さらにここから光っている毛を顕微鏡で見て、実際に毛の周囲にカビが繁殖しているかを確認し、カビの培養検査を行なってカビの種類を特定すると、診断がつきます。
また、今回のカビのような皮膚糸状菌と呼ばれる菌は人にも感染します。人に感染した場合は、下の写真のような「リングワーム状」の湿疹を形成しますので、心当たりがある方はすぐに皮膚科へ行きましょう!たまに動物病院で犬や猫に処方した薬を飼い主さんが一緒につけていることがありますが、絶対にやめてください!
治療は原則として、飲み薬での治療を行います。ただし、抗真菌薬は一定の確率で肝障害を発生させることがありますので、使用前には必ず血液検査を行い肝臓の状態を確認する必要があります。また飲み終わりも長く、検査でカビが陰性と判定されてからさらに1カ月間の内服が推奨されています。
治療の一環として、シャンプーを推奨されている先生もいらっしゃいますが、私はあまりおすすめしていません。それは自宅でシャンプーをすると、ほぼ間違いなく家の中にカビを撒き散らしてしまうからです。カビは人にもうつりますので、ご自宅で感染を拡大させないようにすることは非常に重要です。
シャンプーよりも効果的なのは毛を刈ってしまうことです。できれば、全身の毛を丸坊主にしてしまってもいいかもしれません。カビは毛にくっついて増殖しますから、毛がなければ効率よく増えることができないんですね。
カビはねこちゃんだけではなく、同居のご家族やわんちゃんにもうつる厄介な病気です。若い猫ちゃんがあまり痒みがないのに全身の毛が抜けてきたり、フケが目立ってきたら、早めに動物病院にかかりましょう!