【皮膚科】ミニチュアピンシャーの黒色被毛形成異常症(BHFD)

  • 2018年10月15日
  • 最終更新日 2022年6月29日
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知立市・刈谷市・安城市のなんよう動物病院です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

今回も脱毛症のご紹介です。

実はこんな感じに毛が薄い子ってけっこういますが、気づかれていない方が多いです。飼い主さんも毛がうすいという認識はありませんでした。

【症例】

ミニチュアピンシャー、7か月齢

【症状】

耳、首、胸、お腹、太腿の裏側に脱毛があります。かゆみはありません。

【診断】

「まだ1歳未満だし、先天性の病気が可能性高いよな~」と考えながら、皮膚検査、血液検査を行いましたが、明らかな異常は見つかりませんでした。そのため、飼い主さんの了承を得て、病理組織検査を実施しました。

病理組織検査は実際に皮膚の一部を6mmほどの大きさで取らせてもらい、皮膚の中で起こっている変化を見るための検査です。もちろん局所麻酔を使いますので、痛くはありません。

この検査の注意点は「皮膚病理の診断名=病気の診断名」ではないということです。

違う皮膚病でも同じような病理所見になることはあるため、最終的な判断は病理の先生ではなく、僕ら現場の人間にゆだねられます。そこで、しっかりとした判断を下せるかが大切です。

この子の診断は

「パターン脱毛症+黒色被毛形成異常症」

でした。

パターン脱毛症は一般的には耳、首、胸、お腹、肛門周囲、太ももの裏側が好発部位として知られています。また、好発犬種としてはダックスフンドが最も一般的ですが、ボストンテリアやピンシャー、チワワ、イタリアングレーハウンドなどでも見られます。

黒色被毛形成異常症は遺伝性の病気で毛の色が2色以上ある子で、黒色の毛だけが折れて薄くなっていく病気です。

【治療】

パターン脱毛症の治療は主にサプリメントです。パターン脱毛症は美容上問題となることはありますが、元気や食欲など健康状態にかかわる問題がでてくる病気ではありません。そのため、この症例は特に治療は行わず、経過観察となりました。

また、黒色被毛形成異常症は現在のところ、治療法が確立されていません。シャンプーの刺激や体のこすれにより毛が折れてしまい、皮膚がダメージを受けることによって二次的な感染を起こすことがあります。そのため、やさしくシャンプーしたり、服を着せてあげて外的刺激から保護してあげることで、毛が折れるのを防ぐことが治療のメインとなります。

当院HPには多数の症例報告を掲載していますので、ぜひご覧ください!

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