外耳炎ではない時の耳道内視鏡の活用例

  • 2022年6月5日
  • 最終更新日 2022年6月07日
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こんにちは!院長の鈴木です😃

今回は外耳炎などの症状があったわけではありませんが、耳の奥を確認した際に鼓膜の手前にびっしりと耳垢が溜まっていたのを発見したため、耳道内視鏡を用いて鼓膜前の掃除を行ったトイプードルさんをご紹介します。

【症例】

トイプードル、11歳齢、避妊メス

このわんちゃんは当院スタッフのワンちゃんでして、歯のぐらつきがあったため歯科処置を行う際にちょっと耳も見ておこうか〜といって耳の中をのぞいたところ、両耳の鼓膜手前に耳垢が詰まっていました。

今回お伝えしたいのは、このワンちゃんは普段かかりつけの病院さんで毎月耳の洗浄をしてもらっていたというところです。

まずは耳の中の様子から洗浄までの流れを動画にしましたので、ご覧ください。

【治療】

コチラのリンクをタップしてください→ 耳道洗浄の様子

奥の方にびっしりと耳垢が溜まっているのがわかるかと思います。特に今回はトイプードルの子だったので耳道内の毛が抜けず、耳垢と絡み合い汚れが外に出てこない要因となっていました。同じように毛が抜けにくい犬種では同じような状況になる可能性があります。

動画では左耳の洗浄の様子をお見せしていますが、この後右耳も同じように洗浄を行いました。

これだけ鼓膜に近い部分の耳垢をとる場合、外からの洗浄ではかなり難しいです。それは一般的に診療で使われている手持ちの耳鏡では光量や拡大率の差で耳の奥まで観察することができないからです。手持ち耳鏡とはこんな感じのやつです。

 

動物病院で毎月洗浄していて、さらに外耳炎の症状がない子でもこれだけの汚れが溜まっていることがあるというのは、覚えておいた方がいいかもしれませんね。これは洗浄の方法が悪いかどうかではなくて機械の性能の差によるところが大きいです。耳の入り口から水平耳道の手前までを確認するのであれば手持ち耳鏡でも十分ですが、耳の最も奥の部分まで観察するためには「オトスコープ」というビデオ装置が必要です。

実際に処置をしたわんちゃんは処置前は名前を呼んでもぼーっとしていることがあったのが、処置後には玄関のチャイムの音にも敏感に反応してすごく運動量が増えたそうです。

あれだけの汚れが鼓膜の前に溜まっていれば耳に違和感があってもおかしくありません。耳の汚れが取れて聞こえが良くなり、耳もすっきりしたことで元気になってくれたんだと思います。

当院では昨年の秋の健康診断から耳道内視鏡を取り入れており、全体の10%くらいの子で症状のない鼓膜手前の耳垢のつまりが見つかりました。

オトスコープを持っている病院は多くないので全ての病院で同じような処置が受けられる訳ではありませんが、なかなか治らない外耳炎はもちろん、症状がなくても年1回くらいは耳の奥までチェックする機会を作ってあげてもいいかもしれませんね。

当院HPには多数の症例報告を掲載していますので、ぜひご覧ください!

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