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寒い日が続くと、猫ちゃんたちは暖かい場所を見つける天才になりますね。
こたつの中で丸まったり、日当たりの良い窓辺でうとうとしたり。そんな微笑ましい姿の一方で、冬は猫ちゃんにとって「おしっこのトラブル」が非常に増える季節でもあります。
「最近、何度もトイレに行っているけれど、おしっこが出ていないみたい」
「トイレ以外の場所でおしっこをしてしまった」
そんな異変に気づいたことはありませんか? 実は、冬特有の「寒さ」と「乾燥」、そしてそれに伴う「飲水量の低下」が、猫ちゃんの膀胱に大きな負担をかけているのです。今回は、猫ちゃんの冬の健康管理において避けては通れない「猫の膀胱炎」について、詳しく解説していきます。
猫ちゃんは痛みを隠すのが非常に上手な動物です。しかし、膀胱炎になると必ずと言っていいほど、行動に変化が現れます。飼い主様が真っ先に気づくべきサインは以下の通りです。
頻尿(ひんにょう): 何度もトイレに行きますが、1回に出る量はごくわずか、あるいは数滴しか出ないこともあります。
残尿感: トイレから出た後も、すぐにお尻を気にして舐めたり、またすぐにトイレに戻ったりします。
排尿痛: おしっこをする時に「ニャー」と鳴いたり、踏ん張るような仕草をしたりします。これは膀胱の粘膜が炎症を起こし、染みているサインです。
血尿: おしっこがピンク色や赤色、あるいはオレンジ色っぽく見えることがあります。白い猫砂を使っていると気づきやすいですが、色のついた砂やシステムトイレのシートでは見逃されがちです。
不適切な排尿: これまで完璧にトイレができていた子が、布団の上やカーペット、脱衣所の隅などで粗相をしてしまうことがあります。これは「トイレに行くと痛い」という記憶から、別の場所でおしっこを試みようとする行動です。
猫の膀胱炎の原因は一つではありませんが、特に冬に悪化しやすい要因がいくつか重なっています。
猫はもともと砂漠地帯で暮らしていた動物の末裔であるため、喉の渇きに対してあまり敏感ではありません。 冬になると喉が渇きにくくなる上に、「寒いから暖かい場所から動きたくない」という理由で水を飲む回数がさらに減ります。すると尿が濃縮され、膀胱の中に細菌が繁殖しやすくなったり、結晶(ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど)ができやすくなったりするのです。
猫の膀胱炎で最も多いのが、検査をしても原因がはっきりしない「特発性膀胱炎(FIC)」です。 これには「ストレス」が大きく関わっています。
急な冷え込みによる身体的ストレス
寒くて運動不足になることによる精神的ストレス
トイレが寒い場所にあることへの不満 これらが自律神経を乱し、膀胱の保護層(GAG層)を弱めてしまうと考えられています。
濃くなった尿の中でミネラル分が結晶化し、それが膀胱の壁を傷つけることで炎症が起きます。冬に飲水量が減ると、このリスクは飛躍的に高まります。
高齢の猫ちゃんや、他の持病がある子の場合、尿道から細菌が入り込んで炎症を起こすことがあります。
病院での治療はもちろん大切ですが、膀胱炎の予防と再発防止には、ご自宅での生活環境の改善が欠かせません。
場所を増やす: 猫ちゃんが普段過ごしている暖かい場所のすぐ近くに水飲み場を作りましょう。「歩いて遠くのキッチンまで行くのが面倒」と思わせないことが大切です。
温度の工夫: 冷たすぎる水よりも、30〜35℃程度のぬるま湯を好む子が意外と多いです。冬場は少し温めてあげると、飲水量がぐんと増えることがあります。
動く水: 循環式の給水器を利用するのも一つの手です。流れる水に興味を持つ猫ちゃんは多いです。
ウェットフードの活用: ドライフード(水分約10%)に比べ、ウェットフードは水分が約80%含まれています。トッピングとして取り入れるだけでも、かなりの水分補給になります。
「スープ」を作る: いつものドライフードにお湯を少しかけて、ふやかしたりスープ仕立てにしたりするのも効果的です。
トイレを暖かく: 廊下や玄関など、極端に寒い場所にトイレを置いていませんか? 寒い場所での排尿を嫌がって我慢してしまうと、膀胱炎のリスクが高まります。
清潔の徹底: 冬は猫ちゃんも綺麗好きです。こまめに掃除をし、猫ちゃんの数+1個のトイレを設置するのが理想的です。
「少し様子を見よう」が命取りになる場合があります。特に男の子の猫ちゃんを飼っている方は、以下の項目を厳守してください。
おしっこが全く出ていない(尿道閉塞): トイレで何度も踏ん張っているのに一滴も出ていない場合。
激しい嘔吐・ぐったりしている: おしっこが出ない状態(尿閉)が続くと、24〜48時間で「尿毒症」に陥り、命に関わります。
お腹を触るとひどく痛がる: 膀胱がパンパンに張っている可能性があります。
血尿が出ている: 痛みや不快感が強い状態です。
1日に何度もトイレに行く: 早期に炎症を抑えてあげる必要があります。
おしっこの色が濃い、臭いがきつい: 結晶や細菌が増えているサインかもしれません。
診断には、尿検査、エコー検査、レントゲン検査などを用います。その子の原因に合わせたオーダーメイドの治療を行います。
消炎鎮痛剤: 膀胱の腫れを抑え、痛みを取り除きます。痛みがなくなると、猫ちゃんはリラックスして排尿できるようになります。
抗生剤: 細菌感染が認められる場合に使用します。
止血剤: 出血がひどい場合に使用します。
尿道拡張剤・鎮痙剤: おしっこの通り道を広げ、スムーズに出せるようにします。
尿石(結晶)が原因の場合、マグネシウムやリンなどのミネラル分を調整した「療法食」に切り替えます。これにより、今ある結晶を溶かしたり、新しい結晶ができるのを防いだりします。 ※自己判断で市販の「下部尿路配慮食」に変えるのではなく、必ず獣医師の指導のもとで適切なフードを選んでください。
脱水気味の子や、尿を強制的に薄める必要がある場合には、背中の皮下に水分を補給する点滴を行います。
結石が大きすぎて溶けない場合や、何度も尿道閉塞を繰り返す男の子の場合は、石を取り出す手術や、尿道を広げる手術(会陰尿道瘻設置術)を検討することもあります。
猫の膀胱炎は、一度なると繰り返しやすい病気です。しかし、冬の寒さ対策と飲水量の管理を徹底することで、そのリスクを最小限に抑えることができます。
猫ちゃんがトイレから出てきたら、
塊の大きさはいつも通りか?
色は赤くないか?
砂を掻く時間が長すぎないか?
こうした日々の小さな観察が、猫ちゃんの健やかな冬を支えます。
「最近、お水の減りが悪い気がする」 「トイレの回数が増えたかも?」
そんなちょっとした違和感があれば、いつでも当院にご相談ください。
尿検査だけでも、多くの情報を得ることができます(可能であれば、新鮮な尿を清潔な容器に入れてお持ちください)。
愛知県知立市の動物病院 なんよう動物病院
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