知立市、刈谷市、安城市、豊田市、名古屋市のみなさんこんにちは。
愛知県知立市のなんよう動物病院の院長鈴木です。
今回は、犬の子宮蓄膿症の症状と原因、当院での治療について説明をさせていただきます。
犬の子宮蓄膿症は場合によっては死に至るとても危険度の高い病気です。
子宮蓄膿症は細菌感染(大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌)を起こし子宮内膜が腫れ、子宮に膿が溜まる病気です。避妊手術を行っていない雌犬の発情出血開始後1〜2ヶ月以内に起こりやすいと言われています。
罹患しやすい犬種はなく、出産をした事のないまたは何年も出産してない高齢のわんちゃんにかかりやすいと言われていますが若いわんちゃんでも罹患する事があります。(5歳以降に見られる事が多い)
わんちゃんは生涯にわたって発情があり(閉経がない)、発情期がくるたびに罹患のリスクがあります。さらに7歳以上のわんちゃんでは30%が罹患すると言われています。
膿が溜まるにつれ、以下のような症状が見られることがあります。
・元気、食欲が無い
・嘔吐
・お腹が張ってくる
・多飲多尿
・陰部から膿が出る
・陰部を気にして舐める
陰部から膿が排出される開放性と全く排出されない閉鎖性があり必ずしも膿が出ると言うわけではありません。陰部が膿で汚れていれば気付きやすいですが、全く排膿されない場合はそのほかの症状で気づいてあげる必要があります。
年齢や身体検査からある程度判断し、血液検査、レントゲン、超音波検査で確定診断をします。
↓次の写真は実際に子宮蓄膿症になり開腹して切除する前の子宮の写真です。
膿が子宮いっぱいに溜まってしまっている事が分かります。通常の子宮はもっと細いです。
膿が溜まり大きくなった子宮がお腹の中にあるのは非常に危険な状態で、わんちゃん達にとっても負担がかかってしまうので出来るだけ早いうちに切除してあげる必要があります。
しかし、麻酔リスクや基礎疾患により手術を行えない場合、その他の理由により手術行えない場合には抗生剤を内服にて投与する内科的療法をします。
卵巣から分泌されるプロジェステロンに拮抗する薬を投与することにより、子宮からの排膿を促すことができます。この治療法の難点としては、閉鎖性子宮蓄膿症の場合治療効果が乏しいことがある点、薬自体が非常に高額であり、手術をするのと変わらないくらいの費用がかかる可能性がある点です。
また内科治療では完全に膿を排出できる事ができず発情期が来るたびに再発するリスクがあるので発情期後は生涯注意が必要です。
したがって手術にて摘出する事が再発を防ぐこともできるため、当院では一番初めにご提案している治療法です。