【皮膚科】甲状腺機能低下症

  • 2020年9月29日
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知立市・刈谷市・安城市のなんよう動物病院です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

今回は内分泌疾患による脱毛症をご紹介します。今回ご紹介する甲状腺機能低下症は皮膚のトラブル以外にも様々なところに影響を与える病気です。

【症例】

シベリアンハスキー、10歳齢、避妊メス

【症状】

皮膚のかゆみがないのにしっぽの毛が抜けてきた。かかりつけでは原因不明の皮膚病と言われた。最近、あまり元気がなく歩くのも力がない様子。

シベリアンハスキー

シベリアンハスキー

 

【診断】

今回のご紹介するわんちゃんのように、しっぽが脱毛する病気というのは結構あります。その中でもかゆみがあるかどうかというのはポイントです。かゆみがないしっぽの脱毛症は、内分泌の影響があったり、しっぽの分泌腺の異常や血管障害からくることが多いからです。しかし、飼い主さんがかゆみがないとおっしゃっていても検査をしてみたら噛んでいる証拠が見つかるなんてこともあります。「どの部位からどのような病変がどれくらいのスピードで広がったか」を飼い主さんから聞く事はとても重要ですが、検査結果と合わせて矛盾のないように診断を進めなければいけません。

まずは、どんな皮膚病の子でも行う皮膚のルーティーン検査を行います。そこでわかったのは、感染はしていない、成長期の毛が少なく休止期の毛が多いということでした。これだけでは確定診断ができませんので、今後は血液検査を行いました。すると、甲状腺から出るホルモンの量が少ないことがわかりました。ここでの注意点として、甲状腺ホルモンの測定値は甲状腺の病気以外の影響により、値が低く出やすいという特徴があります。そのため、甲状腺機能検査をして結果が低かった場合には甲状腺機能検査を低くする要因がないかどうかを検討する必要があります。

今回の症例では、甲状腺以外に大きな異常が見つからなかったため、この段階で甲状腺機能低下症を疑いました。さらに甲状腺機能低下症では、よくある症状として色素沈着、脱毛、膿皮症などの皮膚症状の他に体重増加、活動性(元気)低下、徐脈などが見られます。本症例でも「あまり元気がない様子」との問診をいただいていましたので、まずは甲状腺機能低下症を治療することになりました。

 

【治療】

甲状腺機能低下症の治療は、ホルモンの補給が必要で内服による治療を行います。本症例でも内服による治療を行なった結果、3ヶ月後には下の写真のようになりました。

シベリアンハスキー

 

だいぶモサモサになりましたね!治療開始と同時に散歩でよく歩くようになったとのお声もいただきましたので、晴れてこの子は「甲状腺機能低下症による脱毛症」と診断がつきました。皮膚科の診療では、おそらくこれだろうという予測を立てて治療に入る「診断的治療」で確定診断をつけていくことも多いと感じています。

甲状腺機能低下症と診断された時点で、甲状腺は萎縮を起こし機能の回復は見込めないことがほとんどです。そのため、生涯に渡ってホルモン剤を飲んでいく必要があります。ただし、うまくお付き合いができれば寿命まで元気に暮らせる病気です。これからもお薬を継続して飲んでいただき、良い発毛状態を維持できるといいですね!

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