【皮膚科】脂漏性皮膚炎

  • 2021年5月10日
Pocket

知立市・刈谷市・安城市のなんよう動物病院の鈴木です!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

今回は手足を中心にフケと痒みがひどく、脱毛してしまったポメラニアンの子をご紹介します!

【症例】

ポメラニアン、8歳、去勢オス

【症状】

当院を受診される1年以上前からかゆみと脱毛が目立つようになってきた。別の2件の病院にて治療を行なったが、改善が見られなかった。

 

顔や首回りの毛も脱毛が目立ちますが、特に四肢と腹部の脱毛が重度であることがわかりますね。

初診時にはステロイド、抗生剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン薬を混ぜて内服していました。また、油をとるシャンプーで週1回の洗浄を行い、赤いところには保湿のローションもつけていただいていました。ここまでしていて、なぜこんなに状態が悪化してしまったんでしょうか?

【診断】

かゆみのある皮膚病の検査は、まず感染の有無を確認するところから始まります。ここを怠ると、薬を使っても狙った効果が出ませんので慎重に!

皮膚検査の結果から、マラセチアという酵母様真菌(カビ)が増殖していることがわかりました。このマラセチアは体表の皮脂を餌にして増殖するため、皮膚がべたついてくると増えてきます。そして、マラセチアの菌体や代謝産物によるアレルギー反応で痒みを引き起こすと言われています。

またマラセチアの他、皮膚表層の細胞の代謝が亢進していることがわかりました。皮膚の代謝のことをターンオーバーといいます。ターンオーバーの周期は人では4週間で1サイクル、犬ではおよそ21日で1サイクルといわれています。ターンオーバーの周期が短くなることで未熟な細胞が表面に出てきてしまい、バラバラとはがれやすくなります。この時、はがれたものがフケです。このように皮膚表面の代謝に異常が生じることを「角化異常」といいます。

角化異常にはさまざまな原因があります。感染、体質によるもの、アレルギー、内分泌、免疫異常、腫瘍などです。今回の症例は、皮膚症状は1年前と高齢になってから出てきたとのことから、後天性の脂漏症の原因として内分泌の異常や免疫疾患、腫瘍などを考えました。これらの原因を探すため、血液検査と画像診断を実施した結果、甲状腺のホルモン濃度に異常があることがわかりました。そのためこの症例では、かゆみの対応と同時に甲状腺のホルモン治療も行うことになりました。

【治療】

今回の症例はマラセチアが過剰に増殖しており、かゆみを悪化させている原因の一つと考えられました。そのため、皮膚のターンオーバーを正常に近づけるシャンプーの前にクレンジングを使用して、過剰になっている皮脂を落とした上でシャンプーによる皮脂のコントロールを行うこととしました。シャンプー後は皮膚の上から皮脂が除去されるため、そのままにしておくとさらなる皮脂の分泌を促してしまいます。そのため、シャンプー後の保湿剤の併用も必要となりますので、トリートメントを使っていただき、皮脂を落とした後の皮膚の保護を行っていただきました。

マラセチアは皮脂をエサにして増殖しますので、クレンジングと皮脂を取り除くシャンプーを併用することは非常に効果が高いと感じています。

この子もシャンプーのみでマラセチアのコントロールは可能でした。

一方、非常に強いかゆみとともに、皮膚の構造変化がひどく手足はごわごわになっていました。。こういった状態の皮膚にはステロイドがとても効果的です。ステロイドはかゆみを抑える効果はもちろんですが、副作用として皮膚を薄くするという効果もあります。この副作用を利用し、分厚くなってしまった皮膚をもとに戻していくわけです。当然、ずっと同じ濃度や頻度で使い続ければ今度は皮膚が薄くなりすぎてしまいますので、うまく調節してあげなければいけません。

またステロイドには皮脂腺を萎縮させて、皮脂の分泌を抑制する効果もありますので、今回のような油っぽい子には特に有効です。

治療を開始して3ヶ月後の写真です。

かなり毛が生えてましたね!

まだところどころ、薄いところが残っていますが、かなりポメラニアンっぽくなりました!

今回のポイントは、シャンプーの前後でしっかりと皮膚のコントロールが行えたことと効果的に塗り薬を併用できたことだと思います。今回の治療で何か皮膚科に強い先生しか知らないような特別な薬やシャンプーは一切使用していません。やはり、薬とシャンプーの選び方、使い方が勝負を分ける要因になりますね!

この子は先に、投薬とシャンプーで皮膚のコンディションをある程度のところまで持っていけたので、現在はできる限りお薬を減らせるようにトライアル中です。

若齢からなんらかの皮膚症状を持っている子は、アレルギーや脂漏などの体質による皮膚症状が多いため、病気と一生のお付き合いになることがほとんどです。それでも、ここ数年で様々な治療法が開発されてきており、飼い主様にご提案できる選択肢も増えていますので、諦めずにご相談ください!

当院へのご連絡、ご相談はこちらからどうぞ!

カテゴリー