【歯科】歯周病の治療

  • 2021年7月16日
  • 最終更新日 2023年5月17日
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知立市・刈谷市・のなんよう動物病院です!当院では最も力を入れている皮膚科のほか、高齢の子が多くなってきたことで近年増えてきている歯周病の治療にも力を入れています。

今回は歯周病の進行により、抜歯が必要になってしまったわんちゃんをご紹介します。

【症例】

トイプードル、12歳齢、去勢オス

【症状】

口臭がひどくなり、歯もぐらついている気がする。

今回治療するわんちゃんの処置前のお口の様子です。大量の歯石が付着していることがわかると思います。

【検査】

当院では、まず口の中の歯石のつき具合や歯肉の退縮の程度、歯肉の色などを確認します。また、歯を触ること

でグラつきがあるのかどうかを判断します。外から触っただけでグラついてしまう歯はほとんどの場合、抜歯対象です。

外から見ただけだと歯肉も十分に残っているような歯でも、歯と歯肉の間から膿が出ていることがあります。このような状況では歯周病が進行している可能性が高いため、歯のレントゲンを撮って、確認する必要があります。

レントゲン検査の結果、下の前歯と下顎の奥歯の歯槽骨(歯を支える骨のことです。)が溶けてなくなっていることがわかりました。

【治療】

麻酔をかけてから、レントゲンを撮影しいよいよ歯石の除去に入ります。歯の表面だけでなく、歯周ポケット内も細かくチェックして掃除していきます。

下の写真のように空気を送ることで歯周ポケットの中を観察することができます。犬歯の裏側の歯周ポケットは深くなりやすく、特に汚れが溜まりやすいところです。ここは外側から見ただけでは汚れが溜まっているかどうか判別することはできません。ですが、こういった深い部分の汚れを取らないと、歯周病の進行を止めることはできないんです!

全て歯の歯周ポケットの掃除が終わった後の写真がこちらです。一部の歯は抜歯してあります。歯周ポケットの奥の方まで掃除しているので、歯肉から出血しているところもありますが、出血してくれた方が残っている細かな雑菌などを流してくれるので、いいことだと考えています。

この症例では、奥歯の方が歯周病の進行がひどかったため、歯肉を一旦めくり、歯の根本を露出させてから掃除して歯肉を縫い直すといった処置もしています。

これくらいキレイになると、処置前後では口の匂いが全然違います!ここまでやって初めて、歯周病に対する治療ができていると考えています。

巷では、無麻酔で歯石除去をしているサロンさんやペットショップさんがありますが、表面の汚れを取っているだけで歯周ポケットの中の観察なんてできませんし、歯肉をめくって歯の根本を掃除するなんてことは絶対にできません。わんちゃんが嫌がって暴れてしまい、ケガにつながることもありますので、現在無麻酔の歯石除去を検討されている飼い主様はやめていただきたいと思います。

一般的に動物病院で行う歯石除去には全身麻酔が必要です。全身麻酔をかけるリスクは大小ありますが、麻酔をかけるからこそ徹底的に細かいところまでキレイにしてあげるべきだと思います。当院では、歯石除去にかかわらず全身麻酔の前には、必ず血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、麻酔リスクを評価しています。そのため、麻酔関連の事故は開業以来、一件もありません。

できる限り安全に、なおかつしっかりとした歯科処置をご希望の飼い主様はぜひ一度、当院までご相談ください!

院長の鈴木でした😃

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