【皮膚科】ブルドッグの皮膚石灰沈着症&副腎皮質機能亢進症

  • 2022年2月14日
  • 最終更新日 2024年4月01日
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犬と猫の痒みや脱毛などで一般的な治療で改善しない難治性の症例の診断・治療に力を入れている愛知県のなんよう動物病院です。

当院は愛知県のほぼ中央、知立市にありますが刈谷市、安城市、豊田市、岡崎市など近隣の市町村だけでなく、名古屋市、日進市、半田市、大府市、東海市、西尾市、蒲郡市、豊橋市など県内の各地から多くの患者様にご来院いただいています。

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今回は、かかりつけにてずっとステロイドを飲んでいるが、背中のぼろぼろと痒みが改善しないため、ご来院されたブルドッグの症例をご紹介します。

【症例】

ブルドッグ、11歳齢、避妊メス

【症状】

1年以上前から背中を中心にぼろぼろが出るようになった。かかりつけではステロイドや抗生剤、甲状腺のホルモン剤を処方され、ずっと飲んでいるが皮膚の症状は悪化してきている。

写真のように全身に分厚いカサブタが付着し、脱毛が進行している状態でした。

腹部だけを見ると膿皮症のようにも見えますが、背中や腰の方にも皮膚が硬い部分が広がっており、普通ではないことがわかります。

【診断】

この症例のように皮膚が固くなっている場合、最も疑わしいのは「皮膚石灰沈着症」です。

皮膚石灰沈着症はカルシウムの代謝が異常になり、リン酸カルシウムが皮膚に沈着する病気です。犬で皮膚石灰沈着症になるほどのカルシウム異常を起こすパターンは大きく分けて4通りあり、その中でよく遭遇するのは、以下の2つのパターンです。

1、グルココルチコイド(ステロイド剤)の長期投与

2、副腎皮質機能亢進症による高グルココルチコイド血症

どちらも多飲多尿や左右対称性の脱毛、皮膚の菲薄化などの石灰沈着以外の特徴を伴うことが多いため、診断するのは比較的容易かと思います。

今回は血液検査と超音波検査を行い、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)があることがわかりました。

今回の症例でも皮膚の状態が悪化した頃からすでに多飲多尿が見られていたとのことだったので、もともと副腎皮質機能亢進症があるところにさらにステロイド剤を処方されていたため、症状が悪化してしまったのではないかと推測しました。

【治療】

皮膚石灰沈着症を治療するためには、まず基礎疾患である副腎皮質機能亢進症をコントロールする必要があります。副腎皮質機能亢進症の根本は、副腎から出るホルモン分泌量を調整している「下垂体」という部分が大きくなり機能亢進していることによります。下垂体の腫大に対する根本治療は、放射線治療による下垂体の収縮ですが頻回の全身麻酔や費用の問題などから、実施されることはまだまだ少ないのが現状です。一般的な動物病院での治療のメインは飲み薬で副腎から出るステロイドホルモンの量を調整する方法となっています。

飲み薬でステロイドホルモンの量がコントロールできたとしてもすぐに皮膚症状が改善するわけではなく、自身の体の分解機構により沈着したリン酸カルシウムが分解されるのを待つ必要があります。さらに治療が進んでいく過程でカルシウムが剥がれ落ちる際に痒みが出てしまうことがあります。その場合は、ステロイド以外の痒み止めを使用して、症状を緩和してあげる必要があります。

皮膚石灰沈着症は皮膚が単にゴツゴツとした変化を起こすだけでなく、基礎疾患によっては命に関わるような状態まで進行してしまうこともあります。また副腎皮質機能亢進症の90%以上で見られる「多飲多尿」という症状は様々な疾患で見られる症状であり、中には糖尿病のような非常に危険な疾患もあります。最近、水を飲む量が増えている気がすると感じられる場合は、早めに動物病院を受診しましょう!

 

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