【皮膚科】アポキルが効かないマルチーズの脂漏性皮膚炎

  • 2022年2月14日
  • 最終更新日 2024年4月01日
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犬と猫の痒みや脱毛などで一般的な治療で改善しない難治性の症例の診断・治療に力を入れている愛知県のなんよう動物病院です。

当院は愛知県のほぼ中央、知立市にありますが刈谷市、安城市、豊田市、岡崎市など近隣の市町村だけでなく、名古屋市、日進市、半田市、大府市、東海市、西尾市、蒲郡市、豊橋市など県内の各地から多くの患者様にご来院いただいています。

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今回は、かかりつけで痒み止めのお薬であるアポキルをずっと処方されているが症状が改善してこなかったマルチーズの女の子をご紹介します。

【症例】

マルチーズ、9歳齢、避妊メス

【症状】

3歳ごろから徐々に皮膚の赤みやフケが出始め、全身を痒がるようになっていった。

かかりつけにてアポキルを処方されているが、皮膚の症状が改善する様子はない。

毎月、トリミングでシャンプーを行っているがすぐにベタつきや悪臭が出てきてしまう。

写真では首や脇、お腹に赤みや脱毛が目立つことが見て取れますね。

【診断】

当院の診断手順はいつも同じですが、まずは痒みのある皮膚病として皮膚の検査を行うことから始まります。

細菌やカビの増殖を見落としてしまうと、お薬やシャンプーを使っても思い通りの治療効果が出ないので常に基本的な検査が大事です!

皮膚科検査の結果から、ブドウ球菌とマラセチアが増殖していることがわかりました。ただし、今回の症例ではマラセチアの方がより痒みや皮膚の状態の悪化に関与しており、ブドウ球菌は二次的に増殖しているだけだろうと推測しました。

なぜそのような推測ができるかというと、今回の皮膚の異常の出方がマラセチア増殖ではよく見られますが、ブドウ球菌が増殖する「膿皮症」の典型例ではないからです。ですから、ブドウ球菌はマラセチアや皮膚のベタつきをコントロールできれば自然に減っていくと考え、特に治療は行わないことにしました。

またマラセチアの他、皮膚表層の細胞の代謝が亢進していることがわかりました。皮膚の代謝のことをターンオーバーといいます。ターンオーバーの周期は人では4週間で1サイクル、犬ではおよそ21日で1サイクルといわれています。ターンオーバーの周期が短くなることで未熟な細胞が表面に出てきてしまい、バラバラとはがれやすくなります。この時、はがれたものがフケです。このように皮膚表面の代謝に異常が生じることを「角化異常」といいます。

角化異常にはさまざまな原因があります。感染、体質によるもの、アレルギー、内分泌、免疫異常、腫瘍などです。今回の症例は、皮膚症状は半年前から出てきたとのことでしたが、耳の症状が幼い頃から出始めているため、体質やアレルギーを第一に疑い、悪化要因として内分泌の異常や免疫疾患、腫瘍などを考えました。これらの原因を探すため、血液検査と画像診断を実施しましたが明らかな異常はありませんでした。

【治療】

治療はシャンプーと日々のスキンケアで徹底的に皮脂の分泌をコントロールすることにしました。マラセチアはシャンプーだけで順調に減少し、ブドウ球菌も自然と減っていきました。

また皮膚の赤みやベタつきが強いところには、外用剤のステロイド剤を使用していただきました。飲み薬の方が確かに早いんですが、今回の場合は首、脇、お腹、四肢と皮膚症状が出ているところが限られていたため、長期的な治療を行うことができるぬり薬を選択していただきました。

治療を開始して2ヶ月後の写真です。

皮膚の色がうすくなり、脱毛していた部分には毛が生えてきているのがわかりますね!

アポキルは確かに副作用が少なく、優秀な痒み止めの手段だと思います。ですが、皮膚病の種類や病態を理解してシャンプーなどのスキンケアと組み合わせて使用しないと、十分な効果は得られません。

私が尊敬する皮膚科医の先生に、「皮膚は見える部分にある臓器なんだから、外からのアプローチでもできる限りキレイにしてあげないと!」と言われたことがあります。犬や猫は毛があるため、外用剤を使用するのはなかなか大変ですが、飲み薬だけに頼ってしまうといいお薬を使っていても、よくならないということは多いと思います。

飲み薬、ぬり薬、シャンプー、保湿剤などそれぞれの特徴をよく理解して、副作用なくいい状態を保てるようにしてあげたいですね。

 

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