【皮膚科】アポキル・サイトポイントが効かないマルプーの脂漏性皮膚炎

  • 2022年4月14日
  • 最終更新日 2024年4月01日
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犬と猫の痒みや脱毛などで一般的な治療で改善しない難治性の症例の診断・治療に力を入れている愛知県のなんよう動物病院です。

当院は愛知県のほぼ中央、知立市にありますが刈谷市、安城市、豊田市、岡崎市など近隣の市町村だけでなく、名古屋市、日進市、半田市、大府市、東海市、西尾市、蒲郡市、豊橋市など県内の各地から多くの患者様にご来院いただいています。

当院では皮膚科に特化した診療を行っています。診療をご検討されている飼い主様は以下のサイトをご覧ください。

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生後半年ごろから慢性的な痒みがあり、かかりつけでアポキルやサイトポイントの投薬をしていても皮膚症状が改善しないマルチーズ×トイプードルのわんちゃんをご紹介します!

【症例】

MIX犬(マルチーズ×トイプードル)、1歳、去勢雄

【症状】

生後半年ごろから外耳炎や股の皮膚炎で痒みが出るようになった。アレルギー検査を実施し、食事を変更しているが症状はほとんど変わらない。

脇やお腹がだいぶ赤いですね。保湿をするために毛を刈ったら、かなりの範囲で赤みが出ていました。

【診断】

痒みのある皮膚病では、まずは感染の状況を把握することが大事です。

細菌やカビの増殖を見落としてしまうと、お薬やシャンプーを使っても思い通りの治療効果が出ないので常に基本的な検査が大事です!

皮膚科検査の結果から、ブドウ球菌とマラセチアが増殖していることがわかりました。ただし、今回の症例ではマラセチアの方が圧倒的に増殖しており、痒みや皮膚の状態の悪化により関与しているのはマラセチアの方だと推測しました。

なぜそのような推測ができるかというと、今回の皮膚の異常の出方がマラセチア増殖ではよく見られますが、ブドウ球菌が増殖する「膿皮症」の典型例ではないからです。ですから、ブドウ球菌はマラセチアや皮膚のベタつきをコントロールできれば自然に減っていくと考え、特に治療は行わないことにしました。

またマラセチアの他、皮膚表層の細胞の代謝が亢進していることがわかりました。皮膚の代謝のことをターンオーバーといいます。ターンオーバーの周期は人では4週間で1サイクル、犬ではおよそ21日で1サイクルといわれています。ターンオーバーの周期が短くなることで未熟な細胞が表面に出てきてしまい、バラバラとはがれやすくなります。この時、はがれたものがフケです。このように皮膚表面の代謝に異常が生じることを「角化異常」といいます。

角化異常にはさまざまな原因があります。感染、体質によるもの、アレルギー、内分泌、免疫異常、腫瘍などです。今回の症例は皮膚症状が生後半年から出てきていること、耳垢が油っぽいものが堆積していること、皮膚や被毛のベタつきやテカリが目立つことから生まれつきの脂漏体質=本態性脂漏症と診断しました。

【治療】

治療はシャンプーと日々のスキンケアで徹底的に皮脂の分泌をコントロールすることにしました。マラセチアはシャンプーだけで順調に減少し、ブドウ球菌も自然と減っていきました。

また皮膚の赤みやベタつきが強いところには、外用剤のステロイド剤を使用していただきました。それと同時に皮膚バリアの再形成を促す目的で、保湿剤も毎日つけていただきました。

治療を開始して1ヶ月後の写真です。

おなかは赤みが消え、きれいな毛が生えてきていますね!

胸の方は変化が少し分かりにくいですが、油でベトベトして湿っていた毛が乾燥してサラッとしているのがお分かりいただけるでしょうか。

この状態まで改善するとステロイドの塗り薬は必要なくなり、シャンプーと日々の保湿のスキンケアで大体管理できるようになります。脂漏症の子は夏場に悪化する傾向がありますので、どうしても夏場はマラセチアが増えてしまうことがあります。その時はマラセチアが増えている場所にだけ塗り薬をつけることで、全身への副作用を抑えつつ、治療を継続することができます!

 

当院で実際に治療で使用している薬用シャンプーやサプリメントが購入していただけるようになりました!

 

 

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