犬と猫の痒みや脱毛などで一般的な治療で改善しない難治性の症例の診断・治療に力を入れている愛知県のなんよう動物病院です。
当院は愛知県のほぼ中央、知立市にありますが刈谷市、安城市、豊田市、岡崎市など近隣の市町村だけでなく、名古屋市、日進市、半田市、大府市、東海市、西尾市、蒲郡市、豊橋市など県内の各地から多くの患者様にご来院いただいています。
当院では皮膚科に特化した診療を行っています。診療をご検討されている飼い主様は以下のサイトをご覧ください。
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今回は当院を受診する少し前から全身に強い痒みを認めるようになったMIX犬(チワワ×パピヨン)の症例をご紹介します🐶
MIX犬(チワワ×パピヨン)、14歳齢、避妊メス
当院受診の3か月前から四肢や腹部を中心に強い痒みを認めるようになった。かかりつけではアポキルと抗生剤を処方されたが、改善する様子はなくどんどん脱毛の範囲が拡大している。同居犬にも同時期から痒みが出ている。
また若い頃からもともと体の毛が他の子と比べて、うすかった。
写真では首から下の毛の大部分が脱毛し、カサブタができていることがわかりますね。
痒みの出ている皮膚病の診断には、いつも用いている皮膚科検査のスタンダードがあるため、それに則って検査を行っていきます。ただ、短期間で強い痒みがありこれほどの症状を示す皮膚病は多くありません。
今回の検査では、膿皮症で見られるブドウ球菌やアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎などで見られるマラセチアの増殖は見られませんでした。その代わり、あいつが大量にいました。
そうです、ヒゼンダニですね。
これだけ大小の虫がいて、卵も見られるので皮膚の上で十分な生活環が形成されていることがわかります。まずはこのダニをなんとかしないといつまで経っても皮膚症状が改善することがありません。
今回はダニが大量に寄生していましたので、すぐにダニの駆虫薬を使用していただきました。また、同居のわんちゃんにも同様の症状が見られていたため、同じ駆虫薬を使っていただくことになりました。
この文章を読まれて、「うちは毎月つける薬を使ってるから大丈夫だよね〜」と思われた飼い主様!注意が必要です!
今回見つかったダニは「ヒゼンダニ」という種類のダニです。昔から使われてきたフロントラインやマイフリーガードなどのスポットオンタイプの予防薬は「マダニ」に対する駆虫効果はありますが、「ヒゼンダニ」には効果がありません。そのため、スポットオンタイプの予防薬を使用する場合は全てのダニに効果があるわけではないことを覚えておきましょう!
またダニの治療に加えて、もともと体の毛が薄かったとの稟告もあり、脱毛症についても同時に治療を進めていくことになりました。
治療を開始して、6か月後の写真がこちらです。
治療前とは比べものにならないほど、ふさふさの毛がしっかり生え揃い、パピヨンの血を引いていることがわかる毛並みが戻りました!
ダニの駆虫とともに脱毛症についても、治療効果が出てよかったです!
今回の症例で飼い主様たちに警鐘を鳴らしたいのは、「アポキルは基本的に犬アトピー性皮膚炎の治療薬である」ということです。今でこそ発売当時と違い、アポキルの用量を調整することで様々な疾患に効果がある可能性が示唆されるようになりました。しかし、今回のような寄生虫が関与した皮膚病については、アポキルを使っても全く意味がありません。また当然ですが抗生剤を使っても症状が改善することはありません。
最近は「痒み=アポキル」「痒み=サイトポイント」という先生が増えてきていると感じています。一昔前は痒かったらなんでもステロイドを出す先生のことを指して「ステロイド獣医」という言葉がありましたが、今はそれがアポキル獣医になりつつありますね。
もし痒みを主訴に動物病院を受診し担当の先生に「痒み止めを出しておきますね。」と言われたら、「このお薬はなんというお薬ですか?」と確認しましょう。そこでアポキルですと言われたら「この子はアトピー性皮膚炎ということですか?」と聞いてみてください。もし感染症を疑っていますと返答があれば、その時点ではアポキルは使う必要がない薬ですので、しっかり担当の先生と相談してくださいね!
当院で実際に治療で使用している薬用シャンプーやサプリメントが購入していただけるようになりました!
これまで治療した子たちをインスタグラムでも紹介しています!ぜひご覧ください!
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