【皮膚科】薬の塗りすぎで皮膚が剥がれてしまったトイプードルのステロイド皮膚症|なんよう動物病院|知立市・刈谷市の動物病院

【皮膚科】薬の塗りすぎで皮膚が剥がれてしまったトイプードルのステロイド皮膚症

  • 2022年5月31日
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犬と猫の痒みや脱毛などで一般的な治療で改善しない難治性の症例の診断・治療に力を入れている愛知県のなんよう動物病院です。

今回は皮膚にできたカサブタに対して塗り薬を処方され、しっかり塗っていたところ皮膚に別の変化が出てきてしまったトイプードルさんをご紹介します🐶

今回は注意喚起の意味も含めて、当院受診までに使用されていた薬の名前も載せています。

【症例】

トイプードル、6歳齢、去勢オス

【症状】

当院に受診する1年半くらい前に皮膚にカサブタができた。その時にかかりつけの病院でデルモゾールGローションを処方された。処方指示に従い「毎日」塗っていたところ半年ほどしてから皮膚が剥がれ脱毛が目立つようになってきたため、ビクタスクリームに処方変更となった。その後約1年間にわたり、ビクタスクリームを毎日塗っている。

下の写真が実際に使われていた外用薬です。これらの薬は小動物の治療ではよく用いられています。ポイントはどちらも「ステロイドが配合されている」という点です。デルモゾールはステロイド+抗生剤、ビクタスはステロイド+抗生剤+抗真菌剤という組み合わせです。

次に皮膚がどのように剥離、脱毛していたのかを見てみましょう。

【診断】

これまでの治療歴と皮膚の状態からほぼ診断名は確定なのですが、内臓の異常からこのように皮膚が剥がれてくる疾患もあるので、念のため皮膚の検査と血液検査、画像検査まで実施させていただきました。

その結果、特に皮膚に影響を与える疾患は見つかりませんでした。

そのため、今回はステロイド外用剤の塗りすぎによる「ステロイド皮膚症」と診断しました。

【治療】

ステロイド皮膚症の治療は、まずステロイドの外用剤の使用を中止することが一番です。また長期間ステロイドを使用していたことで皮膚は薄くなり、乾燥していました。そこで皮膚のスキンケアを重視するために高保湿のシャンプーとデイリーケアとしてのスポット剤、皮膚の栄養を高めるためのサプリメントを使っていただきました。治療開始から3か月経過した時点での写真がこちらです。

体の左右、腰の部分にもだいぶ毛が生え揃い、フケも出ないようになりました。

今回のようなステロイド皮膚症はまじめな飼い主さんほど陥ってしまいやすい皮膚病です。少し皮膚の状態が悪くなってきても先生からの指示だから守らないと!と頑張ってしまうんですね。

1か月程度つけただけでステロイド皮膚症になってしまう子もいますが、今回は1年以上にわたって塗り薬の指示が出ていたことから、飼い主さんやワンちゃんのせいではなく完全に獣医師側の処方ミスです。(あまり他の先生の批判はしないんですが、今回だけはお許しを💦)

塗り薬が処方された場合はその中にステロイドが入っているのかどうか、できれば確認してから使用するようにしてください!

また、今回ご紹介したような複数の成分が配合されている外用剤を使用するのにも問題があります。それは「耐性菌」の問題です。

下の検査結果は今回の症例とは別のワンちゃんですが、同じようにビクタスクリームを2ヶ月間使用していた子の薬剤感受性試験の結果です。

エンロフロキサシンという抗生剤にだけ「R」がついています。Rがついているところは菌が耐性を獲得し、効かなくなっているということです。

ビクタスクリームにはオルビフロキサシンという抗生剤が配合されています。エンロフロキサシンもオルビフロキサシンも同じ「キノロン系」に含まれる抗生剤です。つまり同系統の抗生剤にも耐性を獲得してしまっているんですね。

ちなみにこのワンちゃん、まだ1歳です🐶

キノロン系抗生剤は獣医領域ではかなり乱用されており、何年か前に医師会から注意勧告が来ていたこともあります。このような問題から当院では明確な目的なないかぎり、合剤は処方していません。

当院の場合はこんな感じです。これらを必要に応じて組み合わせて処方しています。

・炎症があるなら⇨ステロイド

・菌がいるなら⇨消毒剤(そもそも耐性獲得の可能性がある抗生剤は使いません)

・カビがいるなら⇨抗真菌剤

処方されたお薬は一度内容を確認していただき、どんな薬を使っているのかを把握しておいていただくと、皮膚病が改善していかなかった時に問題点を早めに見つけるヒントになるかもしれませんね!

ずっと塗り薬を塗っているけどよくならないという飼い主様、一度ご相談ください。

当院HPには多数の症例報告を掲載していますので、ぜひご覧ください!

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