犬と猫の痒みや脱毛などで一般的な治療で改善しない難治性の症例の診断・治療に力を入れている愛知県のなんよう動物病院です。
今回は皮膚の痒みやフケでお悩みで来院されたチワワちゃんをご紹介します🐶
かかりつけの病院では原因がわからず、長期間治療を受けることができなかったそうです。
チワワ、8歳齢、去勢オス
もともと体のフケが多く、次第に体重が減ってきていたのが気になっていたそうです。
当院を受診する2カ月前から極端にフケの量が増加し、それに伴って強い痒みが見られるようになりました。かかりつけの病院では原因不明と言われてしまい、治療を行ってもらえなかったそうです。
写真では全身にまばらに脱毛があり、その部分に赤みが集中していることがわかります。よ〜く見ると診察台の上にも大量のフケが落ちていて、いかにフケの量がすごいかがわかりますね。
この子のように非常に大量にフケが出ている状態というのは、皮膚のサイクル(ターンオーバー)が早まっていることを意味します。皮膚のターンオーバーが早まりフケが出やすくなっている状態を角化症とか脂漏症と言ったりします。
今回は脂漏症に加えて、重度の皮膚炎を併発していることから見た目は脂漏性皮膚炎と言えます。もともとフケっぽかったとの情報をいただいているので、若い頃から脂漏症はあったのでしょう。
では、なぜ高齢になってから脂漏症が悪化し、皮膚炎を起こすまでになったのでしょうか?
高齢になってから脂漏性皮膚炎になる原因は様々ですが、今回の症例では皮膚の上で常在菌が大量に増えていたことが一番の原因でした。
皮膚の上の常在菌を減らす一番効率のいい方法は、シャンプーによる洗浄です。特に脂漏性皮膚炎で多発するマラセチアの増殖では、皮脂をいかにして落とすかが重要となります。そこでクレンジングを用いて皮膚の脂を落としていただいた後は、皮膚が薄くなってしまっていたので保湿成分の豊富なシャンプーでケアを行っていただきました。
シャンプーだけではスキンケアは十分とはいえず、日々の保湿や汚れの除去も大切です。特に保湿剤をつけることは余分な皮脂の分泌を抑えてくれるので、こちらも非常にポイントとなるケアです。
これらの「外からのスキンケア」に加えて、体重が落ちて痩せてきてしまっていたことから「内からのスキンケア」のためにフードを変更していただきました。
フードの成分の中でも特に大切なのはタンパク質です。タンパク質は皮膚や毛の原料となるため、これが少ないとなかなかいい状態の皮膚は形成されません。それに加えて、必須脂肪酸やビタミンといった栄養素がバランスよく含まれていることが皮膚にとっていいフードといえます。
治療開始後、3か月での写真です。
治療開始後はきれいに毛が生え揃い、フケがほとんど出なくなりました。毎日大量に出るフケを掃除機で片付けるのは飼い主さんにとっても、かなりの負担になっていたと思います。体を痒がることもほとんどなく、穏やかな生活を送っています。スキンケアを行うことでここまで変わってくれるということを実感できた症例でした。
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