犬の皮膚にかさぶたができる原因・治療法について|知立市のなんよう動物病院

  • 2020年12月14日
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愛知県知立市・刈谷市・安城市の皆さんこんにちは!なんよう動物病院の院長だよりをお届けします!当院では一般診療のほか、犬猫の皮膚病治療に力を入れています。

今回は【犬の皮膚にかさぶたができる皮膚病】についてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!

 

かさぶたってどんなもの?

かさぶたは正式には「痂皮」といい、滲出液や血液、壊死組織、膿などが皮膚表面に固着し、乾燥した状態を指します。皮膚表面から皮膚の中の浅い部分にかけて炎症が生じている部分や膿、潰瘍の上に「かさぶた」が付着していることが多いです。「かさぶた」ができることによって傷ついた皮膚が保護され、かさぶたの下で新しい皮膚の再生を待つことができます。皮膚の再生が十分でない時に無理矢理かさぶたを剥がしてしまうと、皮膚がジュクジュクした状態に戻るのを経験した方も多いのではないでしょうか?これは単純にかさぶたを剥がしたことだけが原因ではなく、そもそもまだかさぶたを剥がしていいタイミングではなかったということです!

 

それでは、次にかさぶたができるような皮膚病はどのようなものがあるのか実際にあげてみたいと思います。ここでは私たちが怪我をした時にできる「かさぶた」は省いて説明します。

 

かさぶたができる皮膚病

①感染症

表在性膿皮症

表在性膿皮症は、主にブドウ球菌による皮膚の細菌感染症です。表在性膿皮症ではまず「丘疹」という赤いブツブツが皮膚にできます。その後、菌が増殖すると「膿疱」というニキビのような見た目に変化します。さらに膿皮症が進行すると膿疱が破れて辺縁のみが残り、「表皮小環」と呼ばれる状態になります。この状態の時の皮膚では、フケやかさぶたが見られるようになります。

診断には「膿疱」や「表皮小環」からサンプルを採取し、菌が増殖していることを顕微鏡で確認する必要があります。

治療は抗生剤の内服や塗り薬、シャンプーによる皮膚のスキンケアなどが有効です。

 

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌は犬や猫のほか、人にも感染する人獣共通感染症です。感染は保菌動物との接触や土壌、家や飼育小屋などの菌に汚染された被毛や埃などからの接触で成立します。皮膚に侵入した皮膚糸状菌に反応して、感染部では炎症が起こります。また菌を排除しようとする免疫細胞の働きにより、水疱や膿疱が形成されます。その後、かさぶたができた際に菌を排除することができればうまく治癒しますが、排除がうまくいかず皮膚の深部まで糸状菌が到達してしまうと炎症が慢性化して、ケリオンや肉芽腫を作ってしまいます。

診断にはウッド灯という特定波長の紫外線を出す機械を使って、菌が付着している被毛を光らせる手法が用いられます。その上で、光っている毛を顕微鏡で確認したり、培養検査を行うことで皮膚糸状菌症を診断します。ただし、糸状菌の中にはウッド灯で光らないものもいるため、注意が必要です。

治療は内服薬が基本となりますが、皮膚糸状菌の治療に使用される抗真菌薬は肝臓に負荷をかけることがあるため、使用前と使用中の肝酵素値のモニタリングが必要です。感染部位が一部分に限局している場合は塗り薬のみで完治することもあります。また、糸状菌は主に毛に感染しますので、感染している被毛とその周囲の毛を含めて、毛を刈ってしまうのも感染拡大を防ぐのに有効です。

皮膚糸状菌症の症例ページもご覧ください!(紹介しているのは猫ちゃんです)

犬ニキビダニ症

ニキビダニは哺乳動物の皮膚に常在すると言われ、ほぼ100%の動物が寄生を受けていると言われています。ニキビダニは主に毛穴の中に寄生するため、毛穴を中心とする皮膚の変化がよくみられます。脱毛や発赤が毛穴に一致してみられる場合、ニキビダニの可能性が高くなります。ニキビダニの増殖に加え二次的な細菌感染や毛包炎を起こすと、皮膚には膿疱が形成されます。さらに激しい炎症では滲出液や出血がみられ、これらが固まることでかさぶたができます。したがって、皮膚科検査を行う中でかさぶたから採取したサンプルにニキビダニがいた場合、ニキビダニ症の中でもより進行した状態であると考えることができます。

ニキビダニ症の診断は毛を抜いたり(毛検査)、皮膚を擦ったりして(皮膚搔爬検査)ニキビダニが過剰に増殖していることを確認する必要があります。かさぶたができている場合は、かさぶたを剥がしてその下を調べることもあります。症例の中にはこれらの検査を実施してもニキビダニが検出できないこともあります。その場合はニキビダニ症の典型的な皮膚症状が出ている場所から皮膚を採材して検査をしなければいけません。

治療は毛包洗浄効果のあるシャンプーを使用して毛穴のクレンジングを行うと効果的です。また近年ではノミダニ駆虫薬にニキビダニに対する高い殺虫効果があることがわかってきており、普段使用する予防薬を用いて治療を行うことが可能となっています。

 

疥癬

犬の疥癬は、犬疥癬虫(イヌヒゼンダニ)が寄生することによって起こる皮膚病です。疥癬によって起こる皮膚のトラブルは2パターンあり、疥癬虫の少数寄生でも起こるアレルギー疾患の通常疥癬と、疥癬虫の多数寄生により起こる角化型疥癬があります。

犬疥癬の多くは通常疥癬で、非常に強い痒みを示すことが特徴的です。夜も痒みが強すぎて寝られず、出血しても掻き続ける子もいます。耳の辺縁や肘、かかと、お腹などに症状が出やすいと言われています。

診断は疥癬虫が寄生していることを確認することが必要です。角化型疥癬のように多数寄生であれば発見するのは容易ですが、通常疥癬では1匹の疥癬がいるだけでも症状が出てしまいます。犬の体の上から1匹の小さな虫を探し出すのは容易ではなく、通常疥癬の時の検査での疥癬虫の検出率は30%以下とも言われています。そのため検査で虫が発見できなかったとしても、痒みのレベルや痒みの部位から疥癬の存在を疑う場合には、薬を使った治療を試してみることが推奨されています。

治療はダニに対して効果のある駆虫薬を用いて、治療を行います。これまでは注射やつける薬が汎用されてきましたが、ニキビダニと同様に予防薬でも駆虫できることがわかってきましたので、治療の選択肢がかなり広がりました。

 

②アレルギー性皮膚炎

犬で問題となりやすいアレルギー性皮膚炎には、ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、犬アトピー性皮膚炎があります。

 

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎はその名の通りノミが感染することで起こりますが、ノミの唾液に対するアレルギー反応であることから、ノミの数が少数でも発症します。よく言われる虫刺されはノミの多数寄生により発生します。

診断はノミアレルギー性皮膚炎で症状が出やすい部位(腰背部、腹部など)に症状が出ていること、ノミの糞を見つけることでノミの寄生を確認することができます。

治療は第一にノミの駆虫が必須です。またノミがいなくなってもしばらくアレルギー反応による痒みが持続する場合があるため、痒みの管理としてステロイドなどの内服が必要になる場合もあります。

 

食物アレルギー

食物アレルギーは、普段食べているものが原因で発症するアレルギーです。一般的に1歳未満で発症することが多いと言われています。タンパク質に反応して、痒みを引き起こすことが知られていますが、ドライフードの場合フードを揚げる時に使用される油でもアレルギー反応を起こす可能性があります。

診断にはこれまで食べていたフードを変更する「除去食試験」が必要になります。基本的にはこれまで口にしたことのない材料で作られているフードを選ぶことになりますが、市販のプレミアムフードなどを食べている子はあらゆる食材がフードに使用されているため、食べたことのない材料のフードを選ぶのは非常に困難です。その場合は分子量を小さく分解した低タンパク食やアミノ酸食にしたり、食べてもアレルギーが出る可能性が低い食材を調べる血液検査を行うことになります。除去食試験の期間中は、できる限り口にするものは指定されたフードのみにする必要があります。当然、おやつはダメですしフィラリアなどの予防薬も試験期間中は皮膚に直接つけることができるスポットタイプに変更するべきでしょう。

食物アレルギーの症例ページもご覧ください!

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎は犬種、発症年齢、発症部位、痒みの程度などである程度予測することが可能です。犬アトピー性皮膚炎は遺伝的な体質や原因となるアレルゲンの種類、生活環境などの様々な因子が関係して皮膚症状が出てくるため、それぞれに対しての多角的な治療が必要となります。好発犬種は欧米ではウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ラブラドール・レトリバー、フレンチ・ブルドッグ、ジャーマン・シェパード・ドッグなどが挙げられていますが、国内では柴犬やシー・ズー、トイプードルなどがよく見られます。

犬アトピー性皮膚炎の初期は痒みから始まります。

  • 痒みによって体を掻く
  • 掻くことで皮膚のバリアが破壊される
  • バリアの破壊で、より多くのアレルゲンが皮膚に侵入するようになる
  • その結果として、より強いアレルギー反応が起きて痒みが増す

このようなサイクルで犬アトピー性皮膚炎はどんどん悪化していきます。より早期の段階で治療を開始することで悪化を防ぐことができます。

先ほど犬アトピー性皮膚炎はある程度予測が可能だと書きましたが、それだけで診断することはできません。診断のためには犬アトピー性皮膚炎と同じような「痒み」を示す皮膚病を一つずつ検査や治療で除外していく必要があります。当院では、皮膚の感染症や犬アトピー性皮膚炎に非常に似通った症状を示す食物アレルギーなどの皮膚病を問診や検査により除外した上で、「この子は犬アトピー性皮膚炎の可能性が非常に高い」と診断を下しています。

犬アトピー性皮膚炎の治療は多岐に渡ります。急性期、慢性期により推奨される治療法が異なり、内服薬、外用薬、注射薬、シャンプー、サプリメント、フードなど使用する治療は数多く存在します。

これらを全て説明することは割愛させていただきますが、さまざまな治療法をわんちゃんの状態に応じて組み合わせながら、最適な治療法にたどり着けるように考えています。

犬アトピー性皮膚炎の症例ページもご覧ください!

③自己免疫性皮膚疾患

落葉状天疱瘡

落葉状天疱瘡は自己の免疫が自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患です。皮膚の細胞を接着させているタンパクが、自己抗体の標的となってしまい攻撃を受けることで細胞同士が離れてしまいます。落葉状天疱瘡は炎症細胞の浸潤により初期は「膿疱」が形成されますが、すぐに潰れてかさぶたになってしまいます。見た目は「膿皮症」と見分けがつきませんが、好発部位が異なるため膿皮症が出にくい場所に「膿疱」ができていた場合は、この疾患を疑う必要があります。落葉状天疱瘡の好発部位は、鼻稜部や眼の周囲、耳などがあります。腹部の皮膚や体全体に広がってしまうこともあります。

診断は同じような見た目の皮膚病である膿皮症や皮膚糸状菌症、ニキビダニ症などを皮膚検査によって除外することです。また、病理組織学検査と言って皮膚を6mmくらいの大きさでくりぬき、詳しく検査を行うこともあります。

治療は内服のステロイド剤がメインとなります。ステロイド剤のみでのコントロールやステロイドの減薬が困難な場合は、免疫抑制剤を併用すると有効なことがあります。また内服薬だけでなく、ぬり薬のステロイド剤を併用することで内服薬の量を減らすことが期待できます。

④腫瘍性皮膚疾患

皮膚リンパ腫

皮膚に発生するリンパ腫は、非常に悪性度が高い腫瘍性疾患です。皮膚の赤み、フケ、脱毛、かさぶた、色素脱失など様々な皮膚の肉眼像を呈し、一見してリンパ腫ではない他の皮膚疾患(例えば、感染症や免疫疾患など)と区別することが難しい場合もあります。

診断は皮膚の上から細胞を採取し、異常なリンパ球が多数出てきていることを確認することと、病理組織学検査を行い皮膚(特に表皮)にリンパ球が集まってきていることを確認することが必要です。

治療には抗がん剤投与を行います。ごく小さな病変であれば、外科的に切除することで寛解が得られることもありますが、ほとんどの場合は抗がん剤が必要になります。一般的に診断まで時間がかかるケースが多く、診断がついてからの無治療での平均余命は2ヶ月間と言われています。そのため、できるだけ早く診断をつけなければいけない皮膚病を一つです。

皮膚リンパ腫の症例ページもご覧ください!

皮膚病の治療なら、愛知県知立市で皮膚病治療で評判のなんよう動物病院へ!

今回は皮膚に「かさぶた」ができている時にどんな病気の可能性があるのか、またどのような治療法があるのかをまとめてみました。膿皮症などのよくみられる病気から、皮膚リンパ腫のように一刻も早く診断をつけて治療に入らないと残された時間が少ない皮膚病もあります。普段から犬の皮膚を見慣れていないとどの病気が疑わしいのかを飼い主様の目線で判断するのは、非常に困難です。

当院では年間100例以上の皮膚病に悩むワンちゃん、ねこちゃんにご来院いただいております。これらの豊富な経験から同じような見た目の皮膚病であっても、経過や痒みの程度、お薬に対する反応性などを総合的に判断してより的確な診断が下せています。そのためには診察に入る前にお時間をいただき、しっかりと問診を行ってワンちゃん、ねこちゃん のこれまでの経過や状態をお聞きする必要があります。当院では初診時に限り、通常の診療時間ではない昼間の時間に「皮膚科特別診療枠」を設けており、1〜2時間かけてじっくりお話を伺うようにしています。

皮膚病の治療は他の疾患に比べ、時間がかかることが多い診療科です。特に症状がよくならないためにセカンドオピニオンを求めてご来院される場合は、治療期間が長期間におよびやすい傾向があります。初回の診察で十分な時間をかけてお話をお聞きし、身体検査と皮膚科検査などの各種検査を漏らさずに実施することで、適切な治療法を早期にご提案し改善までの期間を短くすることが可能となっています。

当院の症例集ページはこちらから!

今回ご紹介したような症状でお困りの飼い主様は一度、当院までご相談ください!

 

院長の鈴木がお送りしました!

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